弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2020年3月 9日

星宙(ほしぞら)の飛行士

宇宙


(霧山昴)
著者 油井 亀美也 、 出版  実務教育出版

宇宙飛行士が語る宇宙の絶景と夢。これがサブタイトルです。宇宙飛行士として飛行中に撮った地球と星を見事なカラー写真で紹介してくれる楽しい本です。
親から、家にお金がないので防衛大学校に行ってくれと頼まれて入学。自分に向かないと思ったところで、ひょんなことから戦闘機パイロットとなり、教官もつとめているうちに宇宙飛行士に応募して採用されたという経歴です。
自衛隊時代はソ連を「敵」だとしっかり思い込んでいたのが、ロシアで宇宙飛行士として訓練を受けているうちに誤解は解けていったといいます。
宇宙飛行士に選ばれたときは既に39歳になっていました。それから厳しい訓練を経て、実際に宇宙を飛んだときには40歳でした。そして、今もまた宇宙に飛び出そうとしているそうです。すごいですね・・・。
宇宙は常に快晴。
流れ星は、天から降ってくるのではなく、眼下に広がる大気圏の中を地上に向かって流れていく。
オーロラは、寄せては返す波のようなもの。
オーロラの緑は大気中にある酸素原子、ピンクや紫は窒素原子の色。
オーロラが美しく光るほど、危険のサインとも言える。
エネルギーの塊である太陽を一瞬でも直に見ると失明してしまう。なので、ISS(国際宇宙ステーション)の窓には、太陽からの紫外線をカットするフィルターが貼られている。
快適な船内から防寒対策することなく、大好きな冬の星座を見続けられるというのは、ISSの特典だ。
地上では、惑星は瞬かず、恒星は瞬く。しかし、宇宙では、どちらも瞬かず、鋭い輝きを放つ。なので、両者は見分けにくい。
ISSは、全体としてサッカー場ほどの大きさのある巨大な構造物だ。空気の満たされた10ほどの部屋がある。この部屋を全部あわせると、ジャンボジェット機1.5倍くらいの容積がある。そこに宇宙飛行士6人が生活している。
日本は、ISSで一番大きく静かで機能美にあふれた「きぼう」という部屋をもっている。
宇宙飛行士には、筋力を保つために、1日2時間半の運動が義務づけられている。
夜景の撮影が難しいのは、ISSが秒速8キロで移動しているから。この秒速8キロというのは、拳銃の弾の20倍もの速さ。これは、東京と大阪間を1分で飛ぶという猛スピードだ。
ISSにいるあいだは、どんなに疲れていても、緊急事態に対処できるだけの余力は残しておかなければならない。うむむ、なるほど、そこまで徹底しているのですね・・・。
子どものころの夢を見事にかなえたという話でもあります。すごいですね
(2019年11月刊。1600円+税)

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