弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2020年1月20日

猫脳がわかる!


(霧山昴)
著者 今泉 忠明 、 出版  文春新書

日本では、2017年に猫のほうが犬を上回った。単身世帯の増加にともない、犬ほど飼育に手がかからないとの理由から猫を飼う人が増えている。
猫の方が犬よりも野生に近く、それだけ自立性が高い。猫は原始脳が発達しているので警戒心の強さ、反応の敏感さがある。危険を察知する本能がしっかり機能しないと、猫は生き抜けなかった。
猫の記憶持続能力を実験すると、16時間も覚えていることが判明した。
猫は縄張りをパトロールしたがる。単独で生きてきた猫は縄張りに何か異変があると命にかかわるので、少しでも自身が関わった場所はパトロールせずにはいられない。
猫は、人と違って季節繁殖を行う動物。猫の発情は春だけではない。発情するのはメス猫だけ。オス猫は、メスの発情期の鳴き声やその時期に発するフェロモンに影響されて発情が誘発される。
猫は交尾のあとに排卵が起こるため、ほぼ100%、確実に妊娠できる。しかも、交尾が終わったメスは、別のオスと交尾することがあり、交尾後、排卵するまで数時間あるため、続けざまに交尾したメスは、一度の出産で父親ちがいの子猫を生むことがある。これも猫の強い生命力を物語っている。
猫の睡眠時間は長い。1日16時間も眠る。「寝子(ねこ)」なのだ。猫は眠りの浅いレム睡眠の時間が長い。人は20%なのに、ネコは75%。猫が丸まったポーズで寝ているときはノンレム睡眠で、熟睡している。
猫はパニックに陥りやすい動物。
猫の視力は0.3以下で、強度の近視。静止しているモノはあまり見えていない。しかし動体視力は人間の10倍ある。色の識別は苦手。
猫は、人の3倍の音域の音を聞きとることができる。
猫同士がお互いのニオイをかぐときは、猫社会のルールにのっとって、優位な猫が先に相手のお尻のニオイをかぐ。逆にする猫は礼儀知らずだとして嫌われる。ニオイのなかのフェロモンの存在を確認する行為でもある。
猫の味覚の大半を占めているのは、猫脳が子猫時代に記憶した、食べても安心な味。
猫には、同じものを食べ続けて飽きるという感覚はない。猫用に調整されたミルクにする。
猫のヒゲや肉球は大切なセンサー。
肉球と鼻にだけ、汗をかく。
猫は深夜にスイッチが入ったように目をランランとさせながら走り回る。獲物は暗いと動きが鈍くなるので、捕まえやすい。過去の習性が今のイエネコにもしっかり受け継がれている。
猫の集会では、情報交換していると考えられる。
猫はヒトの2~3歳児より知能が高く、単語も200語くらい覚えられる。
さすがは動物学者です。猫のことがいろいろ学べました。
(2019年9月刊。800円+税)

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