弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2019年11月21日

日米戦争同盟


(霧山昴)
著者 吉田 敏浩 、 出版  河出書房新社

安部首相がトランプ大統領の言いなりに買わされるF35はAとBの両型で105機。1兆2000億円にのぼる。そんなお金があったら、学費を無料化して、奨学金を充実できますよね。
「かが」と「いずも」はF35を搭載する予定。つまり名実ともに空母となる。もはや「ヘリ空母」でもない。
日本の自衛隊はアメリカ軍とともに戦う。だけれども、対等な関係ではなく、使い走りのような存在として、いいように使われるだろう。
アフガニスタンやイラクで、すでに日本の自衛隊はアメリカの戦争に加担した。日本人の多くがそのことを自覚していないだけで、イラクやアフガニスタンの人々は日本をそのように見ている。
日米合同委員会は、日米地位協定の運用に関する協議機関で、日本政府の高級官僚と在日米軍の高級軍人で構成されている。日本側は、すべて文官の官僚(トップは外務官僚)、アメリカ側は、大使館公使を除いてすべて軍人。
東京にある横田空域は日本列島の真ん中をさえぎる巨大な「空の壁」だ。この横田広域は、日本の領空なのに、日本の航空管制が及ばず、管理できない。日本の空の主権はアメリカ軍によって制限され、侵害されている。そのため、羽田空港をつかう民間機は、急上昇したり迂回させられたりする。
このような外国軍隊によって首都の空が広範囲に管理されているのは世界に例がない。
しかも、その法的根拠が疑わしいのに、日本政府はいまだに問題を明らかにしない。まさにアメリカの言いなり。
武器の開発・輸出にしても、アメリカの軍需産業の主導下に日本企業が組み込まれるだけ。巨大なアメリカの軍産複合体に従属するかたちで日米軍需産業の結びつきが深まっていく。
イラクに自衛隊が派遣されたとき、日本通運も実はイラク入りしていた。
ええっ、そ、そうなんですか・・・。ちっとも知りませんでした。そんなことは報道されていなかったと思います。
今、日本中にオスプレイが配備されようとしています。とんでもないことです。死の欠陥飛行機とも呼ばれているオスプレイなんて、日本のどこも必要ありません。
日本という国の現実を知るために欠かせない本だと思いました。
(2019年7月刊。1700円+税)

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