弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2019年7月21日

日本人の起源

人間

(霧山昴)
著者 中橋 孝博 、 出版  講談社学術文庫

アイヌは永らくコーカソイドの一員とみなされていた。しかし、最近の研究によると、アイヌとコーカソイドとの間には目立った近縁性はなく、それよりは本州以南の日本人をはじめとするアジア諸集団により近い関係にあることが明らかとなっている。今や、アイヌをモンドロイドの一員と位置づける見解がほぼ定着している。
そして、アイヌと琉球人の類似性が注目されている。
中世や近世の日本人はその身長がもっとも低くなり、全身が脆弱化していた。ところが、その後、日本人は都市部を中心として再び、高身長、高顔そして強い短頭へと変化した。
今では、顎が細くて手足の長い華奢(きゃしゃ)な、でなければ肥満体の若者が増える傾向にある。
縄文人は、相当な大頭だった。歯の磨り減りかたが激しく、顎のエラが張り出していた。これは、縄文人が現代人に比べて、はるかに物をかむことが多く、その力も強かったことを示している。
やわらかいものばかりを食べていると、アゴのかむ力が必要ないので、アゴは細く、キャシャになってしまう。
縄文前期の日本列島の全人口は2万人。それが、26万人あまりとなったが、近畿以西には1万人も居住していなくて、大半は東日本に集中していた。
ええっ、うそでしょ。日本の文明発祥の地である九州(と、私は固く信じています)にごくわずかな日本人しかいなかっただなんて・・・、信じられませんよね。
縄文社会では、東日本が圧倒的な優位性があった。なぜ、なんでしょうか・・・。それは、食物の豊富さの違いによるという仮説が立てられています。
日本人は、いったいどこから日本列島にやって来て、定着したのか、調べれば調べるほど、複雑怪奇になっていき、関心が深まりました。
(2019年1月刊。1280円+税)

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