弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2019年4月15日

フクロウの家


(霧山昴)
著者 トニー・エンジェル 、 出版  白水社

フクロウを自ら育て、野生のフクロウをじっくり観察し、またフクロウの絵を微細なところまで描き切った本です。フクロウについて、その子育てから生活まで、さしずめフクロウ百科全書のように詳しく知ることができます。
私は坐骨神経痛の原因を知るため病院に行き、MRI検査を受けて、その結果について医師の説明を受けるまで病院に滞在していた時間内で読み切りました(277頁の本です)。
フクロウは、2500万年ほど前に誕生し、長い進化のなかで多様化してきた。世界に217種のフクロウがいる。フクロウは、南極大陸以外のすべての大陸に生息している。
完全に夜行性のフクロウは半分しかいない。フクロウは比較的暗いなかでも活動できる能力をもっている。
抱卵中のメスはエサを取りには行かず、それはオスの役割。メスがあまりにお腹がすいてくると、巣の中から勢いよく飛び出してオスに体当たりして止まり木から突き飛ばして、エサを早く取ってくるよう促す。
うひゃあ、まるで人間様と同じ行動をとるのですね・・・。
オスはメスの気に入るような巣をつくるが、決定権をもっているのは、あくまでメス。
オスとメスが互いに羽づくろいを始めると、たいていは、その後に交尾する。交尾には単なる儀式以上の意味があり、一晩に何度か交尾する。これも、なーるほど、ですね・・・。
フクロウのなかで最小のサボテンフクロウは、主に食虫性で、人間の親指ほどの大きさで、一般的なニワトリの卵よりも軽く、55グラムほどでしかない。
最大のシマフクロウは、大型のハクトウワシよりも重く4.5キロある。このシマフクロウは、自分と同じ重さの鮭も捕まえる。
フクロウの前方視野は人間ほど広くはないものの、頭を素早く270度回転させることができるため、音や動きに即座に反応し、辺りを見回して獲物を見つけることができる。人間は平均して180度しか頭を回せない。フクロウが首を270度回転させられるのは、頸部に人間の2倍にあたる14の脊椎骨があるから。また、頸静脈も、首をこれだけ回しても、脳に血液を提供するのを妨げない配置になっている。フクロウの目は頭蓋骨から飛び出していて骨の中におさまっているのではなく、軟骨に支えられているため、頭が重くならず、体の前部の軽量化につながっている。
フクロウは、人間の目にはとうていできないレベルで、光量にあわせて瞳孔を収縮させたり拡張させたりすることができる。
キンメフクロウは、耳道の閉口部は極端なまでに左右で高さが異なり、聴覚によって獲物を認知するのに役立つ。
フクロウはほとんど音を立てずに飛翔するのが狩りにおける戦略のひとつとなっている。それは、初列風切羽の半ばに、睫毛のような羽根がふわふわと320本以上も伸びて外線を形成していて、この柔らかい羽根が飛翔時に翼が空気を切る音を弱める。
フクロウのカップルは歌を鳴きかわし、長時間、互いに羽づくろいしたり、オスがメスに好物をプレゼントしたりする。
メンフクロウが猫と一緒に遊んでいる動画がユーチューブで公開された。
フクロウがいるかいないかで、その森の健全性を計ることができる。
フクロウの寿命は、野生では10年以下のことが多いものの、飼育下では20年以上も生きることがある。自然界で生き抜くのは、主として人間による環境破壊のため、ますます難しくなっているようです。
フクロウという鳥について多面的なアプローチがなされていて、大変勉強になりました。
福岡・中州の川端通りに「フクロウの店」がありますよね。一度、入ってみることにしましょう。
(2019年2月刊。3000円+税)

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