弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2019年3月27日

メルカリ

社会

(霧山昴)
著者 奥平 和行 、 出版  日経BP社

私はネットショッピングはしませんし、する気もないのですが、私の依頼者にはネットショッピングを担当する人が3人います(正確には、うち2人は疲れてやめました)。ですから、ネットショッピングの苦労は話としては聞いているのです。
スマートフォンを使って個人が物品を売買するフリマアプリの市場を、わずか5年で築き、かつて「ベンチャー不毛の地」とさえ呼ばれた日本で、企業価値の評価額が10億ドル(1100億円)を上回るというユニコーン企業。それがメルカリだ。
この本は、メルカリがスタートするまでの苦難の歴史を紹介しています。初日は、わずか400しかダウンロードされなかったとのこと、信じられません。ところが、1年後には500万になったのです。これまた信じられない数字です。
そして、その背景には何億円もの大金を投資してテレビ・コマーシャルを展開していて、その成果だというのです。となると、ベンチャー企業に先行投資してくれるスポンサー探しがとても大切だということになりますよね・・・。
2015年6月に1700万のダウンロードだったのが、1年後に3300万、さらに翌年には5500万。そして2018年6月の新規上場の直前には7100万になった。日本国民の半分以上が使ったアプリだということ。
メルカリの月間利用者は2014年8月ころに80万人だったのが、2018年2月ころは1030万人となった。流通総額も80億円から930億円に増えた。
メルカリは、売り手から販売価額の10%を手数料として徴集している。2018年3月までの9ヶ月間の連結売上高は261億円だった。
メルカリは、買い手ではなく売り手をつかんだ。たとえば、気に入ったドレスを購入して結婚式やパーティーで着て、終わった直後に売却する。すると、購入したときとあまり違わない価格で処分できる。必要なのは、クリーニング代と送料だけ。レンタルするよりも安い。そこで、若い女性は、再販を前提として、きれいに使い、購入したときのタグを捨てずにとっておく。
これまでのアプリは、販売と購入の双方に焦点をあてていたが、メルカリは販売に焦点をしぼった。メルカリの本質は売るアプリなのだ。
なーるほど、世の中はそうなっているのか・・・、そう思いました。
(2018年11月刊。1600円+税)

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