弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年12月20日

憲法について、いま私が考えること

社会


(霧山昴)
著者 日本ペンクラブ 、 出版  角川書店

日本ペンクラブが憲法について語る本は、これが2冊目。1冊目は、1997年に井上ひさし選で『憲法を考える』(光文社)でした。
それから21年たって、今や日本国憲法の運命は大変な危機に直面しています。
アベ流のごまかし改憲が現実化する心配が強まっているなかで、ペンクラブの面々が、思い思いに憲法を語っているこの本は、大きな意義が認められます。
それにしても、アベ流改憲を狙っている人々は、そろいもそろって根っからの対米従属、対米屈従の人たち。歴代自民党政権の背後には、常にアメリカの指図があり、その世界戦略に都合のよいように自衛隊を位置づけ、そして日本という国のありようも変えようというのです。
ほれぼれするように立派で美しい憲法である。でも、この憲法には脆弱性がつきまとってきた。違憲であるものに常に足蹴(あしげ)にされてきた。この平和憲法を守るのは簡単でありながら、大変至難に思える(志茂田景樹)。
私たちは、すこぶる滑稽な時代を生きている。だって、そうではないか。大臣や高級官僚が、明らかに嘘とわかる大嘘を、平気で堂々と述べるのである。肝心なことは記憶にない、の一言ですますのである。嘘つきと健忘症たちが、国政をになっている(出久根達郎)。
私にとって、家庭とは父親がいないものだった。明治生れの父は外に女をつくり、家にはめったり寄りつかなかった。父の横暴と、ただ泣くしかなかった母の記憶は、私の世界観の基本である。力で人を従わせる人間への嫌悪。弱者を思いやる気持のない政治への怒り(赤川次郎)。
2017年の10~20代の行方不明者は3万3000人。ここ数年、10~20代の自殺者は毎年3000人。15~29歳の引きこもりは38万人(2015年)。
金子みすずと入選順位を競った詩人の島田忠夫は、戦時中は軍国詩人になったにもかかわらず、疎開先で文学をしていて地元民からスパイと疑われて警察に密告され、官憲から拷問を受け、終戦の一週間前に若くして急死した(松本侑子)。
安倍晋三や麻生太郎ならぬ阿呆太郎をふくめて、壊憲派(改憲派)は山口組の組長以下の歴史認識しかもっていない。侵略戦争をしたことへの痛烈な反省から9条は生まれているのに、それが分からないから、9条を壊して、また侵略戦争をしようとしている(佐高信)。
かつて「家族」とは、「戸主」が扶養すべき人々のことであって、戸主本人は家族の一員ではなかった(中島京子)。
「梅雨(つゆ)空に 九条守れの 女性デモ」
これが公民館だよりへの掲載が拒否された俳句です。ここまでアベ流改憲が押し寄せてきているかと思うと、暗然とします。それでも、日本ペンクラブって、がんばっているんですね。励まされました。
(2018年9月刊。1700円+税)

 帰宅したら、先日の仏検の結果を知らせるハガキが届いていました。どうせダメだったんだよな、暗い気持ちで開いてみると、意外にも合格していました。120点満点で62点とっていて、基準点60点をクリアーしていたのです。自己採点では61点でした。これまでは80点前後をとっていましたから20点も下まわって不合格したと思っていたのです。要するに、問題のレベルがいつもより難しかったということでしょう。
 1月末に口頭試問を受けます。気を取りなおして、毎朝のフランス語学習にこれまで以上に力をいれるつもりです。

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