弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年12月 5日

「右翼」の戦後史

社会

(霧山昴)
著者 安田 浩一 、 出版  講談社現代新書

日本の右翼って、今では反天皇であり、アメリカべったりなのではありませんか。靖国神社の前宮司は今の天皇を憎悪しているらしいですね、信じられません。
天皇なんて、黙って利用されていたらいいんだという考えのようです。
そして、財界べったりは戦前からの右翼の伝統なんでしょうが、今では反米どころか親米というより従属(隷属かな)ですよね。日本人の良さを売りにするのは、一体どうなってしまったのでしょうか・・・。
右翼は国家権力の手足として振る舞うだけでよいのか、そんな思いをかかえながら著者は本書を書いたといいます。
右翼とは、単に「反左翼」「アンチ隣国」の運動にとどまっていないのか。「愛国心」を自称しながら、あまりに不平等な日米地位協定を無条件に受け入れているのは、矛盾もはなはだしい。ときのアベ政権を批判しただけで「売国奴」と罵られ、在日外国人であることをもって「出ていけ」と脅迫される時代を見過ごしていいものなのか・・・。
いま外国人労働者を大量に日本へ呼び込もうとしているのは右翼の大好きなアベ政権で、そのためには、まずは労働条件を適正にするのが必要なのではないかと、「左翼」だけでなく世の中一般が批判しているのを、右翼はどうみているのでしょうか・・・。
昔は、日韓の裏社会は太いパイプで結ばれていたので、在日コリアンが暴力団のトップとなり、日本の右翼を支援していた。韓国が民主化されたことで、右翼と韓国のパイプは消滅した。
ネトウヨと右翼の一体化についても指摘されています。右翼がいまの天皇を悪しざまにののしっていることが世間に広く知れわたってしまったら、右翼の威信は(果たして、そんなものがあるのかどうか知りませんが・・・)、たちまち失墜するのではないでしょうか。
日本の右翼の過去と現在を紹介した新書です。
(2018年7月刊。840円+税)

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