弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年11月20日

子どもの英語にどう向き合うか

社会

(霧山昴)
著者  鳥飼 玖美子、 出版  NHK出版新書

小学校から英語を学校で教えるだなんて、とんでもないことです。それより国語力を充実させるのが先決でしょう。そして大学入試に聞き取りを取り入れ、TOEICなどを利用するといいますが、これまた、とんでもありません。
英語を話せる能力より、英語を読めて書ける能力こそ、もっと重視すべきだと思います。
私はフランス語を50年以上も勉強していて、いまもってペラペラ話すことが出来ません。よほど語学の才能がないのでしょう。それでも、あきらめずに脳のボケ防止のためにも続けています。フランス語検定試験も30年来、毎年2回うけています。語学力の低下を心配してのことです。毎朝、NHKラジオのフランス語を聞き、CDで聞き取りをしています。残念なことに、日々新たなりで、単語も文法もすぐに忘却の彼方へ飛んでいき、引き戻すのに毎日苦労するばかりです。
著者は、「子ども英語」は大人の英語とはレベルが違うと力説します。子どもが英語を勉強するとき、肝心なことは英語嫌いにならないようにすることだというのです。なるほど、と思いました。
日本の子ども英語を学ばせてみても、それほどの効果は期待できない。早いうちから英語を教えればペラペラになるというのは幻想でしかない。ネイティブに近いと日本人が思う発音で、ちょっと何かをしゃべる程度では、使える英語とは言えない。
内容をともなった、意味のある英語を相手にわかるように話すには、読み書きを通して必要な語彙を学び、論理的な組み立てを習得する必要がある。これは、お子さま英語では間に合わない。
幼児期から成人するまで、十数年間も、親がガミガミ言って英語をやらせることはない。子どもが英語を学ぶとき、親としては、間違った英語を学ばないように注意すること、英語嫌いにならないよう配慮すること、これが大切。
小学校で習った英語だけでは社会人になって使える英語にはならないので、中学・高校で読み書きを土台にしっかり学習する必要がある。「みんなやってるから」などと、周囲の空気に同調して流されないこと。
小学生にとって大切なことは、まずは英語の土台をつくること。そのためには、母語である日本語の学びが不可欠。
英語塾に通っていた子も、海外で過ごした子も、英語を習わないまま中学に入った子も、英語の試験では差が出なかった。
自宅での学習習慣のない子どもは、学年が上がるほど、英語だけでなく、他の教科でもどんどん成績が下がっていく。
子どもが興味をもって英語を勉強しはじめたら、英語力は伸びていく。そのためには、親子のふれあいを大切にし、子どもと楽しい経験を共有すること。
小学校での英語教育が始まった今、多くの大人に読んでほしい本だと思いました。表紙にある著者の笑顔がステキです。
(2018年9月刊。820円+税)

 日曜日、仏検(フランス語検定試験)準1級のペーパーテストを受け、暗い気分で帰宅しました。今回は文章問題が出来ませんでした。よく意味が理解できず、後半の聞き取り試験で挽回できなかったのです。なんとか書けたのは書き取り試験だけでした。明らかにフランス語力が低下していました。がっかりです。ずっと毎朝NHK・CDの書き取りをしていますし、過去20年間の過去問も3回ほど繰り返し復習したのでしたが・・・。準1級は既に5回は合格していますが、今回は自己採点で5割(120点満点の61点)でしたので、2月の口頭試問は受験できそうもありません(6割が合格基準です)。トホホ・・・、涙が出そうになりました。
 夜、寝る前に山田洋次監督が寅さん映画の新作(第50作)をつくる過程の番組を録画していたのをみました。87歳の監督が、亡くなった渥美清を主人公とした映画をつくるだなんて、奇跡のような映画づくりです。いやあ、がんばっているね・・・と、みているうちに元気を取り戻しました。
 朝、起きたとき、そうだ、初心にかえってフランス語を続けよう、そんな気分でした。そんなわけで、これからもフランス語もがんばります。

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