弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年9月22日

新時代「戦争論」

アメリカ


(霧山昴)
著者 マーチン・ファン・クレフェルト 、 出版  原書房

戦争をする者は、あくまで勝利を得るために戦うのであって、ありとあらゆる理論を試すために戦うのではない。なーるほど、それはそうでしょうね・・・。
二つとして同じ戦争はない。人間の歴史と切り離せない戦争そのものが絶えず変化しており、今後も変化し続けるだろう。うむむ、なるほど、そういうことですか・・・。
時代を問わず、多くの兵士が、敵を殺すのはセックスするようなものだと語っている。人間のどんな行動も、それを愛好する人こそが、それをもっともうまくやる。
経済問題のみが原因で起きた戦争は、ほとんどない。とはいえ、経済的な原因が、おそらく大半の戦争に関わっていることも真実である。
戦闘部隊が全兵力に占める割合は、1860年は90%だった。その100年後の1960年には25%にまで減少した。そして、1990年ころから、民間への業務委託が始まり、割合が増加しつつある。
第一次世界大戦までは、軍事物資の大部分は何より食料と飼料だった。現代では、弾薬や燃料、潤滑剤、戦場で運用される装備品の予備の量が大幅に増えている。戦場で兵士1人の1日の活動を支えるのに必要な物資の量は、以前の30倍に増えている。
アメリカ軍に、ドローン運用者にストレス症候群を訴える人が多い。これは、戦争がビデオゲームになっていないことの証明だ。戦争は今もって人間的なこと(古代ギリシアのツキディデスの言葉)なのだ。
サイバー戦争から身を守る最善の方法は、コンピューターに頼らないこと、少なくともコンピューター同士をつなぐネットワークを使わないこと。しかし、これってかなり無理ですよね。
核兵器の偶発的な爆発が起きなかったのは奇跡と言ってよいくらいだ。核兵器の抑止と強要のゲームは、じつに愚かしく、非道なものである。核兵器の使用は瞬時に、ほぼ完全に人類が滅亡してしまうレベルのものだ。
朝鮮半島で戦争が終結することの意義は限りなく大きいものがあります。日本政府は「圧力」ではなく「対話」に路線を転換すべきです。それが出来ないアベ首相は辞めてもらうしかありません。
(2018年5月刊。2600円+税)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー