弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年8月16日

ソウル・ハンターズ

ロシア

(霧山昴)
著者 レーン・ウィラースレフ 、 出版 亜紀書房

シベリアに住む少数民族、ユカギールの社会を研究した学者の本です。
ユカギール人は、トナカイ牧畜によって生活している。イヌが唯一の家畜である。
ユカギール人は、エルクを狩猟によって得ると、狩猟者たちのあいだで、森の中でシェアされる。
分け前は、集団内の狩猟者の数に応じて山積みにされ、全員が年齢や技術に関係なく平等な分け前を得る。
村に戻ると、肉は再びシェアされる。狩猟者は全員と分け合う義務はなく、親戚にだけそうする義務がある。親族は「よこせ」と言う。そこには「お願いします」とか「ありがとう」という言葉はない。肉が調理されてしまうと、それは再び、その場にいる者、通常は、世帯の全員にシェアされる。肉が保存とか貯蔵されることは、ほとんどない。ユカギール人は、新鮮な肉を食べることを好む。
ユカギール人の狩猟者は、森に行くとき、わざと食料は2日か3日分しか持っていかない。古い世代のユカギール人は、野草を食べることをかたくなに拒絶する。赤くて脂肪の多い肉が何より重要視され、そんな肉のない食事は、まったく正しい食事ではないと、ほとんどの人は考えている。
ユカギールの子どもたちは、寄宿学校に入れられて学ぶよう義務づけられるが、ほとんど6年くらいで脱走して、両親の元へ戻った。
学校を必要としない社会、親と子のつながりで生きていける社会もあるのですね・・・。
(2018年4月刊。3200円+税)

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