弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年7月14日

ぼくは虫ばかり採っていた

生物

(霧山昴)
著者 池田 清彦 、 出版  青土社

昆虫採集を大人になっても生き甲斐としている人が少なくありません。香川照之もその一人ですよね。海外にまで出かけて珍しい蝶を捕まえたりしていますし、それがテレビ番組になって紹介されています。
私は虫屋ではありませんが、虫にかかわる本や写真集、テレビ番組をみるのは大好きです。
採る楽しみ、集める楽しみ、そして形を見る楽しみがある。さらには、食べる楽しみまで出てきて、虫の楽しみ方は広がっている。
小さい虫は重力から自由なので、形がキテレツになったりする・・・。本当にそうなんですよね。奇妙奇天烈、とんでもなくありえない形をしているのを見ると、それだけでもワクワクしてきます。
チョウは、さなぎから成虫になると花の蜜を吸いに行くが、このとき最初に採蜜した花の色を覚えている。2回目以降も同じ花を探す。
モンシロチョウの成虫の期間は2~3週間しかないので、花の季節より寿命のほうが短い。蜜の吸える花の色を覚えておくと、ずっと食事にありつけるので、チョウは学習していく。
乾燥したクマムシは普通3%くらいまで、水が抜ける。0.05%の水しかないような状況になると代謝はしていない。ただの物質の固まりで生きていけない。これが最長20年続いても、水をかけると、命がよみがえる。
人間の脳は組織の50~60%が脂肪で形成され、そのうち3%強が多価不飽和脂肪酸、とくにアラキドン酸とドコサヘキサエン酸で、前者は肉や魚に、後者は魚に多くふくまれ、植物にはあまりふくまれていない。大きな脳を維持するためには肉食が不可欠なのである。
虫の話から生物一般の話まで、大変勉強になりました。著者は私と同じ団塊世代です。
生物って、知れば知るほど不思議です。人間だって・・・。
(2018年3月刊。1500円+税)

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