弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年7月 8日

北斎漫画3

江戸


(霧山昴)
著者 葛飾 北斎 、 出版  青幻舎

「奇想天外」編です。よくも、これだけの絵が描けたものです。まさしく北斎は天才画家というほかありません。
ところが、この本の解説によると、北斎は同時代の江戸の人々からは、それほど高い評価を受けていませんでした。日本では、北斎は「卑しい絵描きだ」と言われ続けてきた。「六大浮世絵師」のランクでは、上から鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、東州斉写楽、歌川広重そして葛飾北斎だった。
浮世絵師が評価されていなかったって、意外ですよね。今では、北斎は、「東洋のレオナルド・ダ・ヴィンチ」だと評価されています・・・。
北斎は、75歳を過ぎてからは、いわゆる浮世絵師ではなくなっている。
北斎は、とにかくありとあらゆるものを描こうとしていた。目には見えない、幽霊や鬼や化け物も描いている。
北斎は、ある意味、日本人離れしている。
北斎は、模倣の天才だったし、真似ることそれ自体が創作活動だった。自分自身も模写している。
北斎は、90歳で死の床に就いたとき、神様に「あと10年ください」と命乞いをしている。「宇宙の真理をつかんで、真の画家になるために、もう少し長生きさせて下さい。10年が無理なら、せめて5年でもいいから・・・」
この3巻のテーマは「奇想天外」なので、宗教的画題、幽霊、妖怪などがふんだんに登場しています。そのひとつひとつに豊かな表情があるので、見ていて飽きることがありません。やはり北斎は天才としか言いようがないことを、ひしひしと実感するのです。
(2017年11月刊。500円+税)

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