弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年6月19日

エマニュエル・マクロン

フランス

(霧山昴)
著者 アンヌ・フルダ 、 出版  プレジデント社

昨年(2017年)5月、フランス大統領にエマニュエル・マクロンが当選した。
人好きのする笑顔と、いかにもフランスの名だたるエリート校(グランゼコル)で学んだ高級官僚といった、つるりとスマートな外見をもつマクロンは、どうにもとらえどころがない。
実のところ、誰もマクロンのことをよく知らない。友人もほとんどいない。
マクロンは、グランゼコルを卒業したあとロスチャイルド(ロチルド)系の投資銀行につとめていた。そしてオランド大統領の下で大統領府(エリゼ宮)の副事務総長に抜擢(ばってき)された。
マクロンの妻ブリジッドは、マクロンが高校生16歳のときに知りあった(生徒と教師として)、24歳年上の人妻で3人の子をもつ教師だった。マクロンの両親は、ともに医師で、離婚している。マクロンに大きな影響を与えたのは妻の母、つまり、祖母だった。祖母(故人)は中学校の校長だった。
16歳のマクロンに教師として接したブリジットは39歳だった。夫と3人の子どもと、何ひとつ不自由のないブルジョアの暮らしを過ごしていた。アミアンのマカロンで有名な老舗の菓子店を営む名家の娘でもある。しかし、何かが物足りなかった。夫は銀行家だった。
二人は高校で演劇を通じて急速に親しくなった。エマニュエルにとって、ブリジットは唯一の女性であり、自分の子どもを持つことをあきらめても一緒になりたかった女性だった。
すごいですね。16歳のときに24歳も年上の教師に恋をして、結局、「ものにする」のですから・・・。
ブリジットにしても、マクロンとの愛を貫くために、銀行家の夫と3人の子どもを捨てたのですから、勇気がありました。「捨てた」といっても、マクロンの選挙戦で勝利したとき、妻ブリジットは子どもたちと孫と一緒に祝福したようですね・・・。
長男はエンジニアに、長女は心臓医に、次男は弁護士になったとのこと。
妻ブリジットは、家庭内で絶えずマクロンに自信をつけてくれる存在だ。一番の話し相手であり、マクロンが16歳のときから、その解放者であり、同伴者だった。マクロンに寄り添い、選挙や就職などのキャリアアップ、そして恋愛上の成熟を支えてきた。
フランスの若き大統領の素顔を少しのぞいてみることができました。
(2018年4月刊。2000円+税)

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