弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年6月16日

受験で合格する方法100

社会

(霧山昴)
著者 佐藤 亮子 、 出版  ポプラ社

あまりにも合理的な子育て法に圧倒されます。この本を読んで思うことは、自分でやれると思ったところを真似してやってみたらいいんじゃないか、ということです。無理して、みんなやろうとすると、息が切れてしまうかもしれません。
佐藤ママの包容力はたいしたものです。そこまでの自信がない人は、自分の身のたけにあったところで、やれることをやったらいいと思うのです。ですから私は、佐藤ママのやり方を全否定するかのような批判には組みしません。それぞれの置かれた条件で、やれるところをやったらいいのです。佐藤ママのやり方を批判するなんて、まったく意味がないと私は思います。
大学受験は、与えられた18年間をいかに効率よく使えるかという勝負。
私には、こんな発想はまったくありませんでした。びっくりしてしまいました。
基礎の問題は、もう解きたくない、つまらないと思えるくらいまでやって、それから過去問(カコモン)に移るのがいい。
そうなんですよね。なんといっても基礎学力をいかにしっかり身につけるのか、この点は本当に大切なことだと思います。
寝る時間をきちんと確保する。
これまた大切なことです。まともな睡眠時間をきちんと確保するのは、頭が正常に働くために不可欠です。ダラダラが一番いけません。
「宿題の丸つけは親がする」。うむむ、これは、さすが佐藤ママのコトバです。なかなかフツーの親には、こんなこと出来ませんよね。でも、たしかに言われてみれば、そうなのだと私も思います。
受験は、「余裕」をもてた者が勝つ。そのためには絶対に「やり残し」をつくらない。
なるほど、この点は、まったく同感です。ああ、あの分野が弱かったよな・・・、そんな思いを引きずって本番の試験会場にのぞんではいけません。私も体験を通じて、そう思います。
子どもに絵本を1万冊よんであげる。
いやあ、まいりましたね・・・。私も、自分が本を好きですし、子どもたちにもたくさんの絵本を読んでやったつもりですけれど、さすがに1万冊という目標というか課題設定までは考えませんでした。
先日、亡くなったかごさとしさんは川崎セツルメントの先輩でもありますが、カラスのパン屋さんシリーズや、「どろぼう学校」など、読んでるほうまで楽しくなる絵本を、私も子どもたちに声色を変えて一生けん命に読んでやっていました。楽しい思い出です。
歴史を学ぶときには、マンガで日本史も世界史も読んでおくといいというのも、私はやっていませんが、これはなるほどと思います。マンガを馬鹿にしてはいけません。手塚治虫のマンガは面白いというだけでなく、人間と歴史を考えさせてくれる哲学書でもあります。
親は「元気でウザいくらいがちょうどいい。親がいつも笑顔でいれば、子どもは安心して過ごすことができる。
子どもには、素直な感情を出せる環境が必要。そのためには、親は、いつもニコニコ笑顔が構えていることが大切。親は「家の壁紙」のような存在なのだ。
これが、この本で、もっとも肝心なところです。親が子どもの前で、いつもニコニコしている、これこそ容易に実行できることではありません。それを佐藤ママはやり切ったのです。子どもたちがインフルエンザにかかっても、佐藤ママにはうつらなかったのです。
私も、同じようにインフルエンザにかかって寝込んだ、ということは一度もありません。毎日、いつも、やりたいことがたくさんあって、寝てる場合じゃない、そんな気分で弁護士生活45年をやってきました。やるべき仕事があって、やりたいことがあるなんて、なんて幸せなんだろうと、感謝の日々を過ごしています。
子どものときには、なるべく失敗の経験はさせない。子どもに必要なのは自立ではなく、自活。自活とは、親が仕送りしなくても、自分で稼いて、食べていけること。
本当にそうなんですよね・・・。子育てがとっくに終わった私からすると、この本を読んで反省するしかないことだらけです。でも、子どもたちから切り捨てられてはいないのが、私にとっての救いです。
家庭が明るいこと、親が笑顔で子どもと接することができること、佐藤ママは本当に大切なことを指摘してくれています。
(2018年2月刊。1500円+税)

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