弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年4月 2日

読むパンダ

生物

(霧山昴)
著者 黒柳 徹子・日本ペンクラブ 、 出版  白水社

はるか昔、上野動物園に来たばかりのパンダを見に行ったことがあります。遠くのほうにじっとしていて、ガッカリでした。少し前に和歌山(南紀白浜)のアドベンチャーワールドに行きましたが、ここは素晴らしいです。わざわざ行った甲斐がありました。パンダを真近で、じっくり観察し、楽しむことができます。ここでは中国と直結してパンダの繁殖に貢献していますが、すごいことだと思います。
この本は、日本にパンダが初めてやってきたときの苦労話から、つい先日のパンダの赤ちゃん誕生まで縦横無尽にパンダを語っています。写真もそれなりにあって楽しい、パンダ大好き人間にはたまらない本です。
パンダなんて、「女子供」がキャーキャー騒いでいるだけじゃないかという偏見をもっている人には、いちどパンダの実物をじっくり見てほしいと思います。もとは熊なのに竹を主食としてあの愛くるしい丸っこい形と白黒パンダ模様はたまりません。そして、動作だって、人間の赤ちゃんか幼児みたいに愛嬌たっぷりなので、見飽きることがありません。誰が、いったい、こんな形と色を考えたのでしょうね。
パンダは木のぼりが上手ですが、それでも落っこちます。ところが、木から落ちても平気な身体をしているのです。
パンダの身体は甘酸っぱい匂い、芽香がする。不快感を与えない。同じことは、パンダの糞についても言える。これは、要するにパンダの主食が竹(笹)によるものでしょうね。肉食だったら、猫の糞のように不快な臭いのはずです。
パンダは鳴く。クンクン、クンクン、クゥンクン。メスがオスを交尾相手として受け入れるときには「メエエエ」と羊鳴きをする。相性が悪いと、「ワン」と犬鳴きをして「近寄らないで」と警告する。
パンダも人間と同じで好き嫌いははっきりしているのです。ですから、パンダの繁殖は難しいのです。それでも日本の動物園で赤ちゃんを育てるのに成功しているのですから、すごいですよね。
パンダファンには絶対おすすめの一冊です。
(2018年3月刊。1400円+税)

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