弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2017年11月20日

アインシュタイン

人間


(霧山昴)
著者 新堂 進 、 出版  サイエンス・アイ新書

天才アインシュタインについて書かれた本は前にも読んだと思いますが、この本でまた新しい発見がありました。
天才でありながらアインシュタインの実像は、むしろひょうきんで、ユーモラスなオッサンだったようです。その証拠が、例の有名な舌(ベロ)を出た写真です。このとき、カメラマンから笑って下さいと言われて、ついアインシュタインは舌を出したとのこと。カメラマンが怒られるかと心配したら、本人も気に入った写真だったとのこと。
アインシュタインは日本にもやって来ています。日本人に対しては高い評価を与えていますが、果たして現代日本人についても、あてはまるでしょうか・・・。
「私が会ったなかで一番好きなのは日本人です。彼らは知的で、控え目で、思いやりにあふれています」
アインシュタインはノーベル賞をもらっていますが、ノーベル賞受賞を決める側に反ユダヤ主義者がいて難航したとのこと。アインシュタインは貧しいユダヤ人の子どもだったのでした。
アインシュタインの遺体は亡くなったその日のうちに火葬され、遺灰は近くの川に流された。ところが、解剖した医師が無断で脳を摘出していた。ホルマリン漬けにされ、今ではプリンストン大学に保存されている。
クルマのカーナビにも、アインシュタインの相対性理論の効果が盛り込まれているというのを知りました。誤差を出さないようにするために必要なのだそうです。
アインシュタインの子どもたちは、親を恨んでいたとのこと。この点は、チャップリンの子どもたちとは違うようです。アインシュタインが離婚したことから、前妻の子たちが母を捨てた父を恨んだということのようです。
それにしても、光が波であり粒子であるというのは、何回きいても、もう一つぴんときません。光には質量はない。質量ゼロだからこそ、秒速30万キロで飛べる。逆に秒速30万キロでしか飛ぶことができない。止まったり、スピードを変えたりはできないというのは質量ゼロの存在の宿命なのだ。
アインシュタインの「2%演説」というのが有名だということも初めて知りました。アインシュタインは平和主義者であり、戦争を憎んでいました
「国民の2%が戦争に反対すれば、その国は戦争を起こせない。なぜなら2%をこえると刑務所がパンクするからだ。2%は刑務所の収容人数の上限で、これをこえると収容できない。だから国は、2%の国民の意見を無視するわけにはいかない」
それにしても16歳のときのアインシュタインの疑問というのは信じられません。さすが天才です。鏡の前に立って、次のように自問自答したというのです。
「光を背にして鏡をのぞくと、そこに光が映る。では、そのまま光のスピードで走ったら、光は鏡に映るだろうか?」
光速の絶対不変の原理がモノを言う世界です。やはり天才とは恐るべき存在ですね・・・。
(2017年9月刊。1000円+税)

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