弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2017年8月27日

日本の夜の公共圏

社会

(霧山昴)
著者 谷口 功一 、 出版  白水社

スナックについての本格研究書です。もちろん、私もスナックには行ったことがあります。でも、カラオケ嫌いの私には、あまり近寄りたくない場所でしかありません。うるわしき美女との出会いを期待したい気持ちは少なからずあるのですが、むくつけきおっさんの下手なカラオケの蛮声を聞かされるかと思うと、足が遠のいてしまいます。
スナックは、今では都市部ではなく、地方においてこそ身近な存在となっている。
先輩が後輩を連れてスナックへ行くという文化は、70年代生まれの世代の前後で断絶している。
ガールズバーは、女の子のドリンク代に店側の実入りは大きく依存している。
スナックは、時間無制限で、女性(ママ)は、若くても30代以上。
スナックの名称は、軽食(スナック)による。スナックの前身はスタンドバー。
現在、スナックは10万軒、美容院23万店、不動産屋12万軒、居酒屋8万店。
人口比でのスナック軒数は、上から順に①宮崎、②青森、③沖縄、④長崎、⑤高知、⑥大分、⑦鳥取、⑧秋田、⑨山口、⑩佐賀。つまり、九州方面が圧倒的に多い。最下位は奈良。なぜ・・・。
田舎では、どんな小さいところにも、スナックとフラダンススタジオがある。うひゃあ、そ、そうなんですか・・・。
スナックは始めるのは簡単で、やめるのも難しくない。大きくもうかることは期待できないけれど、ほそぼそとやるにはいい。
スナックのママが女をウリにしていると、案外にうまくいかない。おっさんたちがライバル同士になってしまうから。ウリは、ママかマスターの人柄だけ。
スナックにとって恐るべきは、警察とあわせて税務署。ただし、これも、はやっている店に限る。税務署がおしのびでやってきて、領収書をもらい、あとで台帳に載っているかチェックする。
スナックでは階級差がない。基本は飲んで歌うこと。社長もサラリーマンも、いろんな人が混交している。
私は、見知らぬ土地に行って、ふらっと食べ物屋に入る元気はあるのですが、夜のまちに、知らないスナックに入る勇気はもちあわせていません。カラオケが歌えないからだとは思いますが・・・。
それにしても、なぜ、スナックが九州、西日本にそんなにかたよっているのでしょうか・・・。不思議でなりません。学者の先生方による、真面目なのか、本気なのか、よく分からなくなってくる貴重な研究書です。
(2017年7月刊。1900円+税)

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