弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2017年7月29日

鳥を識る

(霧山昴)
著者 細川 博昭 、 出版  春秋社

鳥だって夢を見るし、寝言をいうというのです。ええっ、ま、まさか・・・と思います。しかし、たしかに人間と話せる鳥がいるのは間違いありません。
あくびだって、人間と同じように移るのです。セキセイインコで確認されています。
インコ科のヨウムという鳥は、うるさい音をたてる人間に対して「あっちへ行け」と叫んだり、用があるときには「ここに来て」とお願いすることができました。鳥と人間とのあいだで、対等に言葉をつかってのコミュニケーションが成り立つことが実証されたのです。アレックスと呼ばれた、このヨウムは31歳で亡くなってしまいましたが、人間との会話が自由にできていました。
人間の場合、遊びをするのは大人になる前の子ども。ところが、鳥だと、遊ぶのは基本的に成鳥(大人)。脳が発達していくにつれて、遊びたがるようになり、その遊びも高度になる傾向がある。つまり、鳥は人間と同じで、遊ぶのです。
そして、鳥のなかには、道具をつくる文化をもつものもいます。ニューカレドニア島のカレドニアガラスは、エサをとるための道具を自分でつくり、それを使いこなします。
鳥のなかには、人間の音楽にあわせて声を出しながら全身で踊ってみせるのもいます。スノーボールと呼ばれるキバタンの動画がユーチューブで確認できます。
現在、世界には3000億羽の鳥がいる。最小のマメハチドリは体長5センチ、体重はわずか1.7グラム。もっとも大きいワタリアホウドリは、翼を広げると、3.7メートル。ダチョウの体重は100キログラムをこえる。
私が小学生のころ、我が家でもジュウシマツを飼っていました。ジュウシマツは江戸時代の日本で品種改良して誕生した小鳥です。わずか200年間で、祖先の鳥(コシジロホンパラ)には認められない複雑なさえずりを展開するようになった。
鳥の祖先は恐竜だというのは、今では確定した定説です。でも、不思議なことですよね。絵本に出てくる超大型恐竜が絶滅したのではなくて、鳥として今も生き残っているというのです。
鳥を識るというのは、人間を識り、生物を識るいうことだと思いました。
(2017年3月刊。1900円+税)

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