弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2017年6月 1日

弁護士の経営戦略

司法

(霧山昴)
著者 高井 伸夫 、 出版  民事法研究会

80歳になる著者は、もちろん現役の弁護士です。事務所には、朝8時ころに出勤し、夕方6時まで仕事をしているとのこと。年齢(とし)のせいで耳が遠くなったそうですが、この点は私にも同じ傾向があります。
これまで365日、仕事をしてきたそうですが、オンとオフの切り替えにも気を配っています。
オフが充実しないと、オンは充実しない。
まことに、そのとおりです。趣味に生きるということで、読書(小説を読む)とあわせて、絵を見ることが紹介されています。本を読むのは私も実践してきましたし、映画も大好きです。最近も、東京の岩波ホールで映画を見て楽しんできました。
そして、旅行です。このところ海外へは行っていません。国内旅行も、まだ行っていないところがたくさんあります。
著者は新しい友人を少しずつ増やすといっていますが、なかなか出来ません。というか、あまり開拓意欲が湧きません。若い女性なら、少しずつ増やしたいのですが・・・。
著者は大切なことを指摘していると思いました。たとえば、依頼者自身が社会貢献意識をもつように促すということ。弁護士は依頼者をもうけさせるだけではいけない。うむむ、そうなんですよね。でも、ここは、弱いところです・・・。わたしは、大いに反省しました。社会貢献というのは、いろんなアプローチがあっていいわけですから、この意識をもつように働きかけることも忘れてはいけないということです。私も、これから、改めて気をつけたいと思います。
弁護士は、常に早め早めに準備をし、対処していかなければならない。
仕事は、まずは易しいものから、どんどん片付ける。そして、難しいものについても、1日以内に終わらせるようにする。拙速は巧遅に勝る。
私も、まったく同じ考えです。悩んで、仕事をかかえこんではいけません。
弁護士は、決断力を要する職業である。
自分の発言に責任をとる覚悟が必要だし、決断は実行してこそ意味がある。
リーガルマインドは、論理的思考とバランス感覚の二つの両方が必要。
弁護士を採用するときには、目線が強い人を選ぶ。人間観察力が強い人だ。
弁護士は書くことも大事だし、話をすること、その前に読むことも大事。執筆力、表現力、さらに分析力が求められる。そして、先見性、迅速性、さらには機動力が高いこと。
いやあ、弁護士って、いろんな能力が求められるのですよね・・・。
さすがに、大先輩の言葉には実践に裏づけられた重みがあります。
若手弁護士に限らず、弁護士全般にとって大いに参考になることが満載の本です。
(2017年5月刊。1700円+税)

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