弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2017年1月14日

文明開化がやって来た

日本史(明治)

(霧山昴)
著者 林 丈二 、 出版  柏書房

明治時代の実相を、当時の新聞の挿絵(さしえ)で紹介しています。なるほど、そうだったのかと、何度も頭を上下させてしまいました。
日本人って、活字大好き人間が多いですけど、今も新聞にはマンガが絶対に欠かせませんよね。新聞マンガと言えば、サザエさんにサトーサンペイに、今では「まんまる団地」ですね。
ザンギリ頭を叩いてみれば、文明開化の音がする。断髪令が出たのは明治4年。散切り頭の普及は、それなりにすすんだのですね。散髪普及率は、明治5年に10%、明治8年に20%、明治10年に40%、明治13年に70%。西南戦争は明治10年でしたよね・・・。
チョコレートが日本で売られたのは明治11年。風月堂は、日本で初めて西洋菓子の「ショコラート」、つまりチョコレートを販売した。明治19年の新聞広告には「チャクレッ」と書かれているが、これもチョコレートのこと。
明治11年7月の新聞に、風月堂は「アイスキリム」宣伝している。アイスクリームだ。50銭する。このころ、東京・銀座の店で氷水が一杯4銭だったので、一桁ちがう高さ。ところが、明治22年の挿絵では4銭にまで下がっている。
明治17年ころから、日本でも、いろいろビールが売られるようになった。
長屋では、「長屋の犬」として共同して犬を飼い、番犬にしたてあげ明治15年から19年にかけて、ピストル強盗が東京で連続して発生した。ピストルって、このころ、案外、容易に手に入っていた。
明治の生きていた人々の風俗を目で見て知るためには欠かせない本です。絵の訴求力は、たいしたものです。
(2016年10月刊。1800円+税)

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