弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2016年12月17日

使用人たちが見たホワイトハウス

アメリカ

(霧山昴)
著者 ケイト・アンダーセン・ブラウワー 、 出版  光文社

アメリカの大統領宮殿はフランスにある古城とそっくりなのだそうです。
この本では、ホワイトハウスの建築デザインのもとになったのは、ダブリンに建つ18世紀のジョージアン様式の邸宅であり、現在はアイルランド議会議事堂として使われているレンスター・ハウスだとされています。どちらが本当なのでしょうか・・・。
そのホワイトハウスの仕組みと、そこに住んでいた大統領ファミリーの実情の一端が明かされています。
ホワイトハウスには132の部屋、147の窓、28の暖炉、4つの階段に3基のエレベーターがある。外からは3階建てに見えるけれど、実はふたつの中三階があり、6つのフロアーから成る。三階と四階がレジデンスと呼ばれ、大統領とその家族の居住スペースになっている。そこに総勢100人ものスタッフが働いている。
アッシャーは、案内係とか門衛と訳されるが、招待客や訪問客を案内する。チーフアッシャーの下で各部門の監督にあたる。メイドや執事(食事の給仕や銀食器の管理などを行う)がいる。ホワイトハウスには、96人の正規スタッフと250人の臨時スタッフが働いている。
スタッフ用のキッチンや貯蔵庫は地階に位置する。
大統領ファミリーのための食材は、身分を隠したレジデンスのスタッフが直接、食材を購入して安全を期す。何よりも匿名性が重要だ。ファーストファミリーのための食材だと誰も知らなければ、食材に毒を盛ろう考える者はいない。
レジデンス内で毒味役はいない。スタッフ自身が毒味役を兼ねる。そして、外で大統領が食事をするときには陸軍の担当者が厨房で監視し、準備や調理に目を光らせ、必ず毒味する。
クリントン大統領夫妻ほど感情的なカップルはいなかった。スタッフは、その激しい感情の起伏をたびたび目撃した。ホワイトハウスに働くことはローラースケートに乗っているようなものだった。
ジョンソン大統領はめったに満足せず、常に怒鳴り声を響かせていた。その気の荒さとあからさまな弱い者いじめのため、ジョンソン大統領と顔を合わせるのを避けるスタッフが多かった。
クリントン大統領が不倫騒動を起こしていたころ、クリントン大統領は、頭を数針も縫うケガをした。ヒラリーが、大統領を本で殴ったのは間違いない。
これって、有名な話ですよね・・・。ヒラリーは、よくカンシャクを起こした。この本にも、そう書かれています。
レーガン大統領は、任期中の75歳ころからアルツハイマー病の兆候が認められていた。そして、大勢のスタッフに囲まれて育っていく子どもたちがいました。思春期の難しい年頃をホワイトハウスで過ごすのは本人にとっても大変なことが多かったようです。
現在のキャロライン・ケネディ駐日大使もその一人です。いろいろ不祥事もあったようですが、すべては闇のなかです。口の固い人のみの職場なのです。
トランプ大統領が、子どもの学校の関係で、しばらくホワイトハウスでは単身赴任生活というニュースが流れていますが、当然なのでしょうね。
(2016年10月刊。2000円+税)

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