弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2016年10月24日

僕の日本みつばち飼育記

(霧山昴)
著者 安江 三岐彦 、 出版  合同フォレスト

日本みつばちを飼うって、やさしいようで、やはり大変なんだと思いました。
日本みつばちは、在来固有種の野生の蜂だ。小ぶりで、おとなしい。
いま、日本みつばちは、洋蜂が闊歩する蜜源花のすき間を細々と、それでも粘り強く生きのびている。日本みつばちの飼育は、簡単だという人もいれば、むずかしいという人もいる。どちらも正しい。
野生蜂は、分蜂させて群を増やすに限る。分蜂は、春の4月だ。分蜂とは、新女王が生まれる前に、女王蜂が半分の蜂を連れて巣を出ること。そして、新たな場所で営巣を始める。その群を飼育箱に捕り込むことで飼育箱が増やせる。
日本みつばちは、気分を害すると、次の営巣場所へ逃去する。これは洋蜂にはない特異な性質。同じ場所で我慢するよりも、新しい場所でやり直すほうを選択する。日本みつばちは逃去性をもつ蜂なので、永住する気はない。
分蜂は突如として始まるというものではなく、その兆候がある。
分蜂は、5000匹とか1万匹といわれる蜂の子分かれの引っこし乱舞である。
分蜂から蜂球に固まるまで、30分間もかからない。
日本みつばちは、毒性も弱く、おとなしいが、群が攻撃モードのスイッチを入れると危ない。
巣箱のなかにセイヨウミツバチは3~5万匹いる。それに対して日本みつばちは、その半分が、多くても2万匹。そして、日本みつばちの蜜の生産力はセイヨウミツバチの1割ほどでしかない。だからこそ、日本みつばちの蜂蜜は3倍強の値段がついている。
日本みつばちの女王の寿命は、自然界では2年か3年。3年生だったら、夏に寿命を迎える。
セイヨウミツバチは、4キロも飛行するが、日本みつばちはその半分ほどしか飛べない。セイヨウミツバチは、12キロ平方キロを訪花する。日本ミツバチは、その4分の1、3キロ平方メートルしか訪花できない。
セイヨウミツバチの集蜜能力は日本みつばちの能力に比べて桁違いに高い。群勢で花畑にやってきて、日本みつばちを追いやる。
日本みつばちの天敵は、ツバメやスズメ、そしてクマ。ところが本当に怖いのはセイヨウミツバチだ。
日本みつあちをきちんと保存したいものです。ともかくハチがいなくなったら、人類の生存だって危ないのです。たかがハチなんて、軽蔑してはいけません。楽しい日本みつばち飼育の本です。
(2016年8月刊。1600円+税)

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