弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2016年9月28日

なぜトヨタは税金を払っていなかったのか?

社会

(霧山昴)
著者  大村 大次郎 、 出版  ビジネス社

 読んでいると、本当に腹の立つ本です。いえ、著者に対する怒りではありません。
 トヨタのひどさに呆れ、かつ驚きと怒りを禁じえません。亡国企業トヨタの正体!とありますが、まさしくそのとおりです。
 トヨタの車に毎日のっているのが私は恥ずかしくなってしまいました。これまでニッサン社長のカルロス・ゴーンの年収10億円に腹を立てていましたが、トヨタのひどさは日本という国を狂わしている点で、ニッサンをはるかに上回ります。
 まず、なんといっても、トヨタはもうかっているのに法人税を5年間支払っていませんでした。そして、消費税のおかげで戻し税と称して、支払うどころかガッポリ3300億円もらっていました。プリウスなどを開発するために国から4000億円という莫大は援助金をもらっていました。 
税金は支払わないのに、もうかったお金を株主には高配当を続けていました。ところが労働者の賃上げはせず、非正規の社員は国の援助金がもらえなくなると一斉に首切りました。
 まさしく、自分さえ良ければ、日本という国がどうなろうとかまわないという大企業エゴむき出し。そして、そんなトヨタが日本経団連を牛耳り、政治を動かしているのです。
 こんな世の中、間違ってますよね。
 地震多発国の日本で原発推進を今なおやめない電力会社もひどいと私は思いますが、トヨタも日本の将来を暗いものとしている点では同罪です。
 この本は、データを示して明快に論じています。トヨタの反論を知りたいものです。
 トヨタは、税制の優遇制度をうまく利用したのではない。自社の利益になるように税制そのものを変えた。
 トヨタは、それほどの力をもっているのですね・・・。
 トヨタの最大の罪の一つは、日本の賃金水準を低いままに抑え込んでいる張本人だということ。トヨタは史上最高の利益をあげ、株主に対して毎年1000億円から6000億円も配当している。
 ところが、どんなにもうかっていても従業員の賃金(ベア)は1円も上げなかった。それが8年間も続いた。7万人の従業員に1000円のベースアップしても8億円ほど。1万円でも80億円。株主への配当金とはケタ違いに低い。
 トヨタは、日本の雇用や経済活動への貢献度をどんどん減らしているのに、税制面での優遇だけは増やしている。
 こんなおかしいことって、ないですよね。トヨタの車なんか、もう乗りたくない気分です。ぷんぷんぷん・・・。
(2016年6月刊。1000円+税)

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