弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2016年8月11日

戦車の戦う技術

社会

(霧山昴)
著者 木元 寛明 、 出版 サイエンス・アイ新書 

著者は防衛大学校を出て、自衛隊に入り、戦車一筋の人生を過ごしています。
戦車小隊長、戦車中隊長、そして戦車大隊長、戦車連隊長をつとめました。
乗った戦車は、アメリカ軍供与のM4A3E8戦車、国産の61式、74式、90式戦車です。最新の10式戦車は引退したあとなので、乗らなかったようです。
国産の61式戦車は100%マニュアル。74式戦車はオートマチック操縦。90式戦車は完全オートマチック操縦。コンピュータ制御による射撃統制システム。10式戦車となると、ほとんどロボットに近い戦車。
戦車の世界は人車一体。火力、機動力、防護力と乗員がコラボしなければ、戦車は単なる鋼鉄のかたまりに過ぎない。
戦車のもっとも強力な敵は戦車。現代の戦車は120ミリ級の長大な戦車砲を搭載し、最新式の徹甲弾を発射する。徹甲弾は、マッハ5(秒速1600メートル)という猛スピードで飛翔する。
90式戦車の暗視能力は3000メートルで敵戦車を発見し、射撃できる。これに対してロシア軍の主力戦車T-72とT-80の夜間暗視能力は1000メートルしかない。
90式戦車のサーマル・センサは、目標(戦車)が発する熱と周囲の温度差により映像を形成するパッシブ型暗視装置。
劣化ウラン弾は、安価で貫徹力が大きいので、徹甲弾の弾芯として使われている。装甲板に命中すると、高熱で貫通し、酸化ウランの金属微粒子(放射性物質)を周辺に飛散させる。
90式戦車は砲塔上部まで水没させることができる。
ロシア軍の戦車は、水深5~6メートルでも潜水渡渉できる。これは、ヨーロッパの大河を想定しているため。
戦車というものの初歩を学びました。
(2016年6月刊。1100円+税)

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