弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2016年7月30日

檻の中のライオン

司法

(霧山昴)
著者  楾 大樹   出版  かもかわ出版

 権力をライオンにみたて、そのライオンに自由勝手なマネをさせないための、檻(おり)が憲法だという、とても分かりやすい憲法の解説書です。
 ところで。著者の名前は何と読むでしょうか・・・。こんな漢字は見たこともありません。「はんどう」と読みます。ちなみに、手元の漢和辞書で、引いてみました。すると、どうでしょう・・・。角川の漢和中辞典にはありませんでした。木と泉という、よく見る字の組み合わせなので、あってもよさそうですが・・・。
 「ライオンは強いうえに、わがままなことがあります。暴れ出したら手がつけられません。
 歴史を振り返ると、ライオンが私たちを襲いかかることがよくありました」
 そうなんですよね。今のアベ政権をみていると、よく分かります。ネコなで声で、ささやきながら、とんでもない恐ろしいことを平気でやっています。マスコミを支配していますので、自分の都合の悪いことは、多くの国民に知らせないようにしています。
ライオンが「緊急事態には檻から飛び出してキミたちを守れるように、内側からカギを開けられるような檻を作りかえよう」と言い出した。
 でも、ライオンは、本当に私たちを守るためだけに檻から出るのでしょうか。勝手な都合で檻から出て、私たちを襲わないという保障がどこにあるのでしょうか・・・。
 ライオンが自ら「緊急事態だ」と言いさえすれば、檻から出すことが出来るのなら、檻がないのと同じということです。
 たくさんの絵とともに解説されていますので、中学生以上だったら理解できる内容だと思います。小学生でも、高学年だったら、読んで聞かせて、問答形式にしたら、かなり分かってもらえるように思います。
 広島の若手の弁護士である筆者のますますのご活躍を心から期待しています。
(2016年6月刊。1300円+税)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー