弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2016年4月11日

なぜニワトリは毎日卵を産むのか

生物(鳥)

(霧山昴)
著者  森 誠 、 出版  こぶし書房

私と同世代の農業博士です。ニワトリの専門家でもありますから、ニワトリをめぐる面白い話が満載の本です。
なま卵を食べるのは日本だけ。それだけ、日本の卵は安全なのでしょうが、驚きますよね・・・。古代ローマ人は、なま卵に穴をあけて、寝転がって中身をすすっていた。ちなみに、キリストの最後の晩餐でも、使徒たちはテーブルに向かってイスに座っていたのではなく、臥台に寝そべっていた。それが当時の風習(習慣)だったのです。
バイオリニストの先住真理子は、毎朝、3~6個のなま卵を呑む。これが彼女のスタミナ源。私も、おでんには卵がほしいと思いますが、毎日、なま卵という感じではありません。
温泉玉子とかたゆで玉子の違いを識りました。かたゆで玉子は、白身も黄身も固くなっています。それに対して、温泉玉子は、黄身は固まるけれど、白身は固まらない温度である70度のお湯に30分ほどつけておくと出来上がる。この温泉玉子も、日本独特のもの。ガイジンは半熟玉子を好む。
 フランスはモンサン・ミッシェルにある有名なレストランでオムレツを食べたことがあります。泡立てた卵を使って厚さが10センチにもなるものです。このときは、卵を銅製のボールで力一杯泡立てるのです。この銅イオンのおかげで、泡が安定するのだそうです。ですから、見かけこそ巨大オムレツですが、実は、一人前なんてペロリと食べることができます。食べ過ぎの心配は無用なのです。ぜひ、一度、ためしてみてください。
ニワトリは、1日に1個以上の卵は産まない。
日本人は、江戸時代は卵は食べても、ニワトリはあまり食べなかったようです。明治のはじめに東北地方を旅行したイギリス女性のエザべㇻ・バードは、結局、ニワトリを食べることはなかったと旅行記に書いています。
江戸時代の日本人は、動物の肉をおおっぴらに食べることはなかった。それで、鶏肉をカシワと呼び、猪肉はボタン、鹿肉をモミジと呼んだ。馬肉はサクラだ。
江戸時代の日本で、鶴は最高のごちそうだった。しかし、さすがの中国人も鶴は食べていない。なぜか・・・?つまり、鶴はまずいから。なーるほどですね。
ニワトリにまつわる興味深い話が満載の本でした。

(2015年12月刊。2000円+税)

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