弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2015年7月11日

日本国憲法、大阪おばちゃん語訳

司法

                             (霧山昴)
著者  谷口 真由美 、 出版  文芸春秋

 関西弁には、いつも圧倒されてしまいます。私が48年前に大学に入って東京で寮生活をはじめたとき、東北弁も九州弁もなるべく口に出さずいじいじしていたのに、関西弁だけは、モロ出しで、何も悪いことあらへんやんかといった調子でした。自信たっぷりで話されると、それだけで圧倒されてしまいます。
 憲法前文は、大阪弁で言うと、次のようになります。
 人間っていうのは、お互い信頼しあえるって、理想かもしれませんけれど、ホンマにそう思ってますねん。せやさかい、他の国のお人たちも同じように平和が好きちゃうかって信じてますねん。そう信じることで、世界の中で私らの安全と生存を確保しようと決めましてん。せやからな、全世界の人たちがみんな、怖い思いすることとか、飢えたりすることからさいならして、平和に生きていく権利があるって本気で思ってますさかいに、そのことも確認させてな。
 うむむ、なんだかスゴイことですね、これって・・・!!?
 「集団的自衛権」っちゅうのは、ヤンキーのケンカみたいなモンで、仲良しのツレがやられて、ツレに「助けてや」といわれたら、ホンマはツレのほうが間違ったかもしれんケンカとかツレのほうが明らかにいじめてる側やのにとか関係なく、「俺、アイツのツレやから」という理由からケンカにいくようなもんですわ。ツレがめっちゃ悪いヤツやったら、どないすんねん、というのはおっ飛ばすんですね。
 こうやって大阪弁で読みとしてみると、今の憲法は本当にいいことが定められています。
 自民・公明は維新を取り込んで、7月半ばにも衆議院で強行採決しようとしています。断じて許せません。
著者には、東京の日弁連会館で話を聞きましたが、本当に歯切れのいい大阪のおばちゃんです。大学で教えていて専門は国際人権法ということです。ホンマに学者かいな、とそのとき思ったことでした・・・。
(2014年12月刊。1100円+税)

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