弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2015年6月28日

驚くべき乳幼児の心の世界

ドイツ

                              (霧山昴)
著者  ヴァスデヴィ・レディ 、 出版  ミネルヴァ書房

 人間の赤ちゃんを観察する学問があるのです。それによって、人間とは、どういう存在なのかを知ることができます。私は赤ちゃんが大好きです。生命(いのち)の輝きをみていると、心が浮き浮きしてきます。
 赤ちゃんは、生まれてすぐからよそ見している顔より、自分を直接見つめる顔を好んで見たがる。赤ちゃんは相手が反応しないと、苦痛に感じる。
 母親がうつ状態で、反応が乏しいと赤ちゃんも、より起伏のない感情を示し、ひっこみがちな状態になる。そのとき、赤ちゃんは「無力感」を学習している。
 赤ちゃんは、予期できないこと、驚くことを必要としている。すべてが予測できるのは、赤ちゃんにとって退屈なのである。
 赤ちゃんは、他者のフンイキや表現におけるちょっとした変化に非常に敏感である。
 人間の赤ちゃんは、生後9ヶ月から12ヶ月で、他者から注目されていることに気がつくようになる。
 問題のある環境で育てられた子どもは、日常生活で笑いがほとんどない。
 1歳未満でも、赤ちゃんは他者との非言語的交流のなかで、ものを隠したり、だましたり、人の気をそらしたり、何かのふりをしたりする。
 だましのコミュニケーションは、最初の、またすべてに先行するコミュニケーションであり、他のすべての社会的コミュニケーションと同様に、基本的に対話的な過程を通じてあらわれるはずのものである。
 「赤ちゃん学」の今日における到達点を知った気がしました。
(2015年4月刊。3800円+税)

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