弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2015年6月21日

サイエンス・インポッシブル

社会

                                (霧山昴)
著者  ミチオ・カク 、 出版 NHK出版 

 科学の進歩が、毎日の生活にどのような影響をもたらすのかを論じた本です。なるほど、なるほど、と思いながら読みすすめました。
 ウソ発見器は、自分の行為に何らの罪悪感を覚えない異常人格者には通用しない。
 たとえば、CIAにいた二重スパイのオールドリッチ・エイムズは、数十年にわたってCIAのウソ発見器による検査を何度もくぐり抜けている。
 また、50人近い女性を殺した連続殺人犯のゲーリー・リッジウェイも検査をうまくすり抜けている。ウソ発見器は、不安の程度しか測れないのだ。
 長期間の宇宙旅行をすると、身体から貴重なミネラルや化学物質が予想以上に早く失われてしまう。厳しい運動の日課をこなしても、宇宙ステーションに1年も滞在したロシア人宇宙飛行士は、骨や筋肉が大幅に衰え、骨の劣化、赤血球生成量の減少、免疫反応の低下、心血管系の機能低下が避けられない。
 本書では、セブンデー・アドベンチスト教会、そしてエホバの証人についても触れられています。
 アメリカで、ウィリアム・ミラーが1,843年4月3日に最後の審判の日が訪れると予言した。1833年に最大級の流量雨が華々しく夜空を照らしたので、ミラーの予言は、威力を高めた。
 しかし、なにごとも起きなかった。そこで、次には1874年、さらに1914年、そして、今は・・・?
 セブンスデー・アドベンテスト教会の信者は1400万人、エホバの証人は600万人もいる。その分派は、1993年、FBIと対決して、27人の子どもをふくむ76人の信者と教祖のデイヴィッド・コレシュが焼死した。
 世界は不思議にみちみちています。しかし、それがカルト(宗教)とつながるかと言えば、それは違うでしょう。不可能なことを可能にするのも限度がありますよね・・・。
(2012年11月刊。2400円+税)

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