弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2015年6月 7日

スギナの島留学日記

社会

                             (霧山昴)
著者  渡邊 杉菜 、 出版  岩波ジュニア新書

 高校生活というのは人格形成にとって、とても大切な時期だと思います。受験にだけ追われるのではなくて、自然と社会の双方に目を開けることが大切です。
 この本は、私がまだ行ったことのない隠岐(おき)にある島前(どうぜん)高校で学んだ、兵庫県出身の女子高生の体験記です。わー、うらやましいな、そう思いました。
 島根県立高校です。そして、寄宿舎があるのです。女子寮に40人、男子寮に25人います。なぜ、男子より女子が多いのでしょう・・・?
 食堂は男女共同です。私も大学に入ってから3年間ほど寮生活を送りました。うち2年間は、6人部屋でした。楽しい日々です。今ふり返っても、天国のような日々を過ごしました。いじめなんて、もちろんありません。みんな、上も下もなく、仲間です。マンガ週刊誌をまわし読みし、夜食を食べに夜遅く寮の外へ出かけていきました。大学生ですから、門限なんて、もちろんありません。20歳前でしたけど、アルコールも制限なし、です。
 高校生の寮だと、そういうわけにはいきません。勉強時間も決まっています。でも、写真を見ると、本当にみんな楽しそうです。
 この高校では、国語、英語、数学の授業は習熟度でクラス分けされていて、一人ひとりに応じた授業を受けられる。先生は、生徒一人ひとりが、どういう状況にあるのか、しっかり把握している。すばらしいですね。こんな高校で勉強したいですよね。なにしろ、先生1人、生徒4人という授業もあるというのですから・・・。
 1学年50人、全学年2クラス。1年生は、実質3クラス、2年生は4クラス。こりゃあ、たまりません。県立高校で、これほど手厚い授業を受けられる生徒は、幸せです。
 休日も充実しています。島の人々との交流も盛んです。人々との深いつながりを実感できるのです。まさに夢のような高校生活を過ごすことができます。
 私も、もっと早く知っていたら、こんな高校に我が子を入学させたかったと思いました。
(2014年12月刊。800円+税)

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