弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2015年5月20日

スノーデン・ファイル

アメリカ

(霧山昴)
著者  ルーク・ハーディング 、 出版  日系BP社

 権力は知らせたくない、しかし知りたい。自分に都合の悪いことは一般に知られたくないので、「特定秘密」に指定する。そして、国民が何をしているのか、何を考えているのかは知りたいので、無断で傍聴する。どこの国でもやっているのですが、アメリカの場合は、それがケタはずれです。そして、日本の自公政権も、アメリカに習って特定秘密保護法を制定・施行してしまいました。
 今や、世界はスパイ天国と化している。グーグル、スカイプ、ケータイ、GPS、ユーチューブ、トーア、Eコマース、インターネットバンキングなどは、監視マシーンと化している。
 アメリカのNSAはGCHQと協力して、海底の光ファイバーケーブルに盗聴器を仕掛けていた。そのおかげで、アメリカとイギリスは、全世界の通信内容の多くを読みとることができた。
NSA本部には、4万人が働いている。アメリカ最大の数学者の雇用主だ。
 スノーデンは、10代になったころ、日本に熱を上げていて、日本語も1年半ほど勉強した。
諜報機関は、ケータイをマスクや追跡装置に変えられる。
 2009年にイギリスのロンドンでG20サミットの会議があったとき、GCHQは諸外国の首脳を盗聴していた。
 アメリカのNSAには、光ファイバーケーブルの盗聴という、大きな極秘任務がある。
 NSAは外国の情報だけでなく、アメリカを通過する、すべての通信を収集している。アメリカ本土には、通信が監視・収集・分析されずに出入りできる地点は一つもない。
 2003年の電話通信1800億分のうち、20%がアメリカを発着し、20%がアメリカを通過していた。通信会社にとって、NSAとの協力関係は、ずい分とお金になった。国際通話の81%にアクセスする見通りにアメリカ政府は、毎年、大手通信会社に何億ドルもの大金を払っている。
 フェイスブックは、2012年後半に、1万8000~9000人のユーザーの個人データを、NSAだけでなく、FBI、地方警察など、さまざまな法執行機関に提供した事実を認めている。
 スノーデン・ファイルの恐ろしい現実が紹介されています。
(2014年5月刊。1800円+税)

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