弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2015年3月11日

国際リユースと発展途上国

社会


著者  小島 道一 、 出版  IDE・JETRO、アジア経済研究所

 私にとってアフガニスタンというと中村哲医師を思い出しますし、パシュトン人とかハザラ人が次に来ます。でも、遠い国というイメージです。
 ところが、そのパシュトン人とかハザラ人が日本で中古自動車の輸出入に関わっているというのです。驚きました。
 日本製中古車貿易においては、パキスタン人移民企業家が市場を牽引してきた。
 2004年6月時点で、日本の中古車輸出業者は全国に800業者いて、そのうちパキスタン業者が350業者、バングラデシュ人が100業者、スリランカ人が100業者だった。2006年12月時点では、パキスタン人業者は500~600業者へ増加した。
 パキスタン人というのはパシュトン人のことであり、千葉県ではアフガニスタン人のほとんどはハザラ人である。ハザラ人は、アフガニスタン内戦が激しくなった1994年ころ日本に来て、中古部品業に従事した。
 2000年以降、アフガニスタン内戦が一時収束すると、多くのパシュトン人が中古部品業界に参入してきた。
日本の中古車のうち登録抹消された自動車の28%が輸出されている。ロシア、ニュージーランド、アラブ首長国連邦が主たる輸出先である。アラブ首長国連邦のドバイは、アフリカ、中東向けの中古自動車貿易の中枢地になっている。
日本の中古テレビの主要な輸出先はフィリピンである。2008年から2012年にかけて、合計258万台に達している。
 ロシアへの日本車の輸出は、経済成長と日本車への根強い需要を背景として、長期的な増加傾向を示し、2008年には年間50万台もの輸出があった。そして、高額な関税を免れるため、自動車部品として輸入するようになった。
 ロシアへは軽自動車が増えている。セカンドカーとしての需要である。道路の路面状況が悪いため、車高の高いジムニー(スズキ)、パジェロミニ(三菱)、テリオスキッド(ダイハツ)が好まれている。
 在日韓国・朝鮮人は金属リサイクル業、在日ベトナム人は中古家電の貿易、在日パキスタン人は中古車貿易業と、すみ分けている。
日本の中古製品が海外へどのように輸出されているのかを実証的に研究した本として、知らなかったことだらけで、大いに勉強になりました。
(2014年12月刊。3600円+税)

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