弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2015年2月 9日

ねこの秘密

生き物


著者  山根 明弘 、 出版  文春新書

 著者は、20年前、大学院生として、玄界灘の「相の島」(あいのしま)でノラネコ200匹を観察していたそうです。200匹すべてに名前をつけて、7年間、個体識別して観察していたというのです。学者って、本当に信じられないほど根気のいる仕事なんですね。
 24時間の定点観察もしています。食事やトイレはどうしていたんでしょうね。眠かったことでしょう・・・。徹夜してネコを観察するなんて、考えただけでも気が遠くなってしまいます。
それにしても、200匹のネコをよくも識別できたものです。もちろん、写真をとって、特徴をメモしたカルテのようなものを作成していました。でも、よほど注意してみていないと、見間違いますよね。
ネコが人間のそばで生活するようになったのは1万年前。人間にとっては、ネズミ駆除の目的からだった。
 ネコの祖先は、リビアヤマネコ。猫は、人間が時間をかけてつくり出した、犬や豚、牛や鳥と同じ「家畜」のひとつである。
 ネコと人類との最初の出会いの場所はメソポタミアと考えられている。古代エジプトではない。古代エジプトでは、ネコがペットとして飼われ、猫が死んだら家族全員が眉をそって喪に服した。猫をミイラとし、地下の猫専用の共同墓地に安置した。そして、人間が故意でなくても猫を殺してしまったら、死刑相当と考えられていた。
 うへーっ、ホ、ホントでしょうか・・・。
日本には、1400年前の飛鳥時代には猫がいた。
 ネコ科の動物は、排他的で単独の生活を基本としているが、猫はその例外として、集団で生活することもある。猫は血のつながったメス同士で、共同保育をすることがある。
 ネコ科動物は自分に必要なことはすべて自分で決定し、単独で行動しなければいけない。相手の顔色をうかがって行動する必要はない。
 猫は爆発的な瞬発力を発揮できる反面、それを持続させることは出来ない身体の構造になっている。
 ノラネコは、餌をくれる人が、あるいは敵意をもった人以外は、まったく関心がない。
 自由気ままに動きまわるネコの繁殖を人間がコントロールするのは至難の業である。
ノラネコでは、5匹に1匹しか1歳まで生き残ることが出来ない。ノラネコの平均寿命は3年から5年。飼い猫の3分の1ほどでしかない。非常に短い生涯を、命を燃やしながら、ドラマチックに、太く短く駆け抜けるのがノラネコの一生。
 「ねこの集会」とは、ひと気のない夜の公園などで、ノラネコが何匹も集まり、何をするでもなく、静かにじっと時間を過ごす現象。
 びっくりしますね。猫が夜に集まって、無言の集会をしているとは・・・。
 猫・ねこ・ネコについて知りたい人には、絶対おすすめの本です。
(2014年10月刊。770円+税)

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