弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2014年12月13日

ロックで学ぶリーガルマインド

司法


著者  奥山 倫行 、 出版  花伝社

 一風変わった、素人向けの法律解説書です。法律の考え方をロック音楽を通じて身につけようというのですから、私なんかの発想の外の世界です。
著者である弁護士の得意分野は、民法、刑法、会社法、著作権法、商標法、不正競争防止法、倒産法というのですから、地方都市のよろずや弁護士である私とは、この点でも、かなり違った分野で活躍しています。もっとも、東京での大手渉外事務所から独立して、今では札幌で弁護士をしているとのことですから、企業法務中心といっても、東京のときとは一味違っているのではないでしょうか・・・。
 それはともかく、著者のすごいところは、FM放送で「ロック裁判所」として電波に乗っているということです。すでに2009年4月以来、260回以上の番組が組まれているとのこと。たいしたものですね。
 この本では、ロック番組のなかで起きた事件を紹介しつつ、法律の考え方や裁判の実際を紹介しています。登場するロック・アーティストの大半は私の知らない人たちです。それでも、マイケル・ジャクソンなら、その音楽を聞いたことは一度もありませんが、名前だけなら私も知っていますし、ポールマッカートニーは、私の高校生時代を思い出させるなつかしい音楽家です。先日、福岡でコンサートをしました。聞きに行ったわけではありませんが、久しぶりに聞いてみたいとは思いました。
 どんなトラブルが起きたのか、その対処法として、何をなすべきなのか、解決策は何かについて、ロック・アーティストをめぐって起きた現実の事件を通して弁護士が考え方を提起していますが、とてもユニークな視点です。
 さすがに慶応大学に在学中からロックに熱中してきた著者による、うんちくを傾けた異色の本です。
(2014年11月刊。1700円+税)

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