弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2014年11月13日

マレーシア航空機はなぜ消えた

社会


著者  杉江 弘 、 出版  講談社

 今年(2014年)3月、マレーシア航空機が突如として行方不明になったというニュースには驚きました。そして、その驚きは、次第に大きくなっていきました。なんといっても、これだけGPSそのほか国際的監視網が発達しているというのに、いつまでたっても飛行機の残骸すら発見できないというのです。私は、そんなバカな・・・、と思っていました。アメリカの軍事観測衛星はきっと真実をつかんでいるのに違いないと思います。でも、アメリカにとって公表する価値がないので、あえて黙殺しているのでしょう。
 この本では、JALの元機長がマレーシア航空機の行方不明の謎を解明しています。
 推理小説ではありませんので、著者の結論を紹介します。
 3月8日未明にクアラルンプールから北京に向かったマレーシア航空機MH370便の失跡は、事故ではなく事件である。管制官と無線交信がなく、トランポンダーも切られ、6時間40分の飛行を行った形跡から、「何者か」によってハイジャックされたと考えよい。
 結局、機長が犯人なのではないか。
 そして、6時間40分も飛び続けたというのは、機長は、マレーシア当局と何らかの交渉や取引をしていたのではないか。
 その交渉、取引がうまくいかなかったため、燃料切れによる失速ではなく、操縦桿を一杯前方に押し、急降下によって海上に衝突する自爆を選択したのはないか。
 以上です。著者は、もちろん、その推理の根拠を詳しく展開しています。なるほど、そういうことなんですか・・・と思いました。
マレーシア航空機が行方不明となったあと、マレーシア航空とマレーシア政府は、情報を隠蔽するかのような姿勢をとり続けた。
 マレーシア当局のメディア対応は、単に情報を小出しにしているだけでなく、意図的に情報操作したり、隠したり、あるいは何の根拠もなく断定したりするのが目についた。
 飛行機のなかで火災が発生したら、20分以内に着陸か着水する必要がある。
 航空機は、うまく着水できると、20分間ほどは海上に浮いていることができる。
ブラックボックスは、水深6000メートルの圧力と1100度の高温にも耐えられる。長年月がたっても海水中で腐蝕はしない。そして30日間は音波を発する。毎月のように飛行機を利用する身として、一刻も早く機体を発見し、何が起きたのか解明してほしいと思いました。
(2014年7月刊。1500円+税)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー