弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2014年10月23日

白熱講義!集団的自衛権

司法


著者  小林 節 、 出版  ベスト新書

 自称・改憲派の小林教授の主張は明快です。一言でいうと、自民・公明党は「憲法ドロボウ」! なぜ、そう言えるのか、新書版で分かりやすく解説しています。
集団的自衛権とは、他国(同盟国)の戦争に加担することである。
 集団的自衛権って、分かりにくいと思ってしまったら、安倍晋三政権の術中にはまってしまうことになる。彼らは、この問題の本質を隠し、些末(さまつ)な各論で国民をごまかそうとしている。
 そう難しく考える必要はない。ケンカしたとき、ひとりで抵抗するか、仲間と対応するか、この本質を理解しさえすれば、集団的自衛権は簡単な話だ。安倍政権の側は、意図的に分かりにくくしている。
安倍首相がテレビなどであげた15事例のほとんどは、集団的自衛権とは関係がない。
 安倍政権は、コロコロと論点を変えている。これは、明らかに目くらまし作戦だ。
 そもそも憲法とは、主権者たる国民が為政者(いせいしゃ)を管理するためのマニュアル(手引書)だ。安倍首相のような為政者が憲法を自由にしていいわけがない。主客が転倒している。国民の持物を政府が取り上げるのだから、「憲法泥棒」「憲法ハイジャック」と言っていいくらいの暴挙だ。
国民のものであるはずの憲法について、一時的に預かっているだけの政府与党が原意から逸脱した解釈をすることは言語道断である。それは、憲法を破壊する行為に他ならない。
 アメリカが日本に軍事基地を置いているのは、日本のためではなく、アメリカのためである。アメリカの世界戦略に必要だからである。
 集団的自衛権を行使すると、抑止力になるどころか、果てしない軍拡競争になり、一触即発の事態になる。そして、日本がテロの標的になる危険性が高まる。
 日本国憲法の下で、海外へ出兵することを本質とする集団的自衛権を認めるのは無理である。
 日本は70年間にわたって「戦争をしない大国」として、世界史に先例のない地位を確立している。この立場を捨て去るのは、惜しい。
7月1日に閣議決定をされてしまったら、もうダメだと早々にあきらめてしまった人がいる。しかし、まだ間に合う。法律化への国会審議はこれから、なのだから。
 違憲な閣議決定なのだから、それを実行できるような法律や予算が決議される前に世論を結集し、政治家たちにプレッシャーを加えよう。そうすれば、十分につぶせるのだ。
 小林教授の訴えは「白熱講義」にふさわしく熱がこもっています。
 福岡県弁護士会でも、11月22日(土)午後、天神の都久志会館大ホールで小林教授そして青井未帆教授を招いて、市民集会とパレードを企画しています。ぜひ、ご参加ください。
(2014年9月刊。787円+税)

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