弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2014年10月14日

わたし、解体はじめました

生き物

著者  畠山 千春 、 出版  木楽舎

 私も、子どものころはカエルを殺しても平気でした。ザリガニ釣りのエサにはカエルのモモ肉が一番いいのです。カエルの足を握ってコンクリートに叩きつけ、両足を千切って皮をむいて糸でしばって、ザリガニのエサにします。よく釣れました。また、カエルの尻にストローを差し込んで口で空気を吹き込み、腹がパンパンにふくれたところで、池に放り込むのです。カエルはどうしようもなく、しばらくプカプカ水面に浮かんでいました。
 そして、父親は私たち子どもの見ている前で、飼っているニワトリの首を包丁で切り落として鶏肉を夕食の材料にしてくれました。ニワトリの卵の出来るまでを、このとき私は理解しました。固いカラのなかに何かを注入するのではなく、固いカラは最終的に付着する形になるのです・・・。
 この本は、ニワトリやイノシシなどを殺し、解体し、料理して美味しく食べる様子を紹介しています。ヒナのときから愛情たっぷり育てていた「ウコッケイ」を殺して解体し、美味しく食べるのです。
 とても勇気のある女性だと思いました。今の私には、とても出来そうもありません。自他ともに認める臆病者だから、です。
 ニワトリは殺される前に、何か不穏な空気を察知するようで、異常に怯えたり、逃げ回ったりする。ニワトリを殺す前に、首をひねるか暴で殴って気絶させる。憎くもないのに、棒で殴って気絶させるのは、すごく難しいこと。
 気絶させたあとは、迷わず首を落としてしまう。そうしないとニワトリを不必要に苦しませることになる。そして60~70度の湯を入れた鍋にニワトリの全身を入れて毛穴を広げる。羽をむしりやすくするため。
 内臓を取り出すとき、レバーについている緑色の胆のうは傷つけないようにする。これが壊れてしまうと、臭くて食べられなくなる。
 ウサギを殺して解体するときには、雪で小さなおにぎりのような固まりをつくって、お腹のなかを拭く。そして、取り出した胃や腸は、そのまま雪の上に置いておく。血のにおいで察知したトンビなどが片付けてくれる。
ウサギの水煮。肉は甘い。味はツナのしょう油漬けのような味がして、美味しい。
 イノシシの肉は力強く、食べると、体中がぽかぽかするエネルギッシュな味。シカはあっさりしていて、ちょっと高貴な印象の味。うさぎは、かわいらしい姿を連想させるような甘い味。
 四つの足の動物は、とどめを刺したら、すぐに血抜きをしないといけない。そうしないと、肉に血の臭いがついて、美味しくなくなってしまう。心臓が動いている間にうまく血抜きができなければ、心臓がポンプの代わりになってスムースに血が外に流れて、肉の味が良くなる。
 肉は熟成されたほうが美味しくなるが、内臓は鮮度が命。とったその日に食べるのがベスト。
 アナグマの肉は予想以上の美味しさ。上品なマトンのような風味で、柔らかく、あっさり。かめばかむほど、肉の旨みがじわりとしみ出してくる。
 イノシシを美味しく食べるためには「止めさし」から内臓を出し、イノシシの体を洗うまでを1時間以上に行わなければならない。
 イノシシの内臓をとり出すと、近くの海に行って海水でイノシシをゴシゴシ洗う。海水は塩分があるため、血が固まらず、血抜きにも効果的。
 罠は、一度つかったらメンテナンスが必要。人間と油の臭いが残っていると、イノシシはすぐに気がつく。罠をかけたら、毎日、様子をみに行く。
 1975年に51万人いた狩猟免許所有者が2010年には19万人と激減している。そして、64%が65歳以上。
まだ20歳代の若い女性の狩猟生活が生き生きと紹介されていて、圧倒されてしまいました。たしかに、イノシシやシカは増えすぎて林業等に被害、悪影響をもたらしているようです。でも、私には、とても殺して、解体する勇気はありません。もちろん、美味しい肉は食べたいのですが・・・。
(2014年6月刊。1500円+税)
 10月8日夜の皆既月食は、東京で見ることができました。この夜、日弁連が集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を求める市民集会を日比谷野外音楽堂で開いたのに参加したのです。3000人の参加者が会場を埋める様子は壮観でした。TBS(テレビ)や新聞も、それなりに報道してくれました。
 学者のリレートークも心うつものばかりでした。この秋、安倍内閣の暴走を止める取り組みを強める必要があります。福岡でも11月22日(土)午後、都久志会館大ホール(630人収容)で市民集会を企画しています。600人規模の集会に福岡県弁護士会でとりくむのは初めてです。ぜひ、ご参加ください。

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