弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
2014年10月28日
資本主義の終焉と歴史の危機
社会
著者 水野 和夫 、 出版 集英社新書
資本主義の死期が近づいているのではないか。このような問題意識で書かれた本です。衝撃の問題提起なのですが、そこで言われているのは、しごくまっとうな内容のものばかりです。そうだ、そうだと、ついつい何度も深くうなずいてしまいました。
昨今の先進各国の国債利回りは、利子率が際立って低下している。日本の10年国際は、2.0%以下という超低金利が20年近く続いている。
金利は、資本利潤率と同じなので、利潤率が極端に低いということは、すでに資本主義が資本主義として機能していないという兆候なのだ。
利子率=利潤率が2%を下回れば、資本側が得るものはほぼゼロ。そうした超低金利が10年をこえて続くと、既存の経済・社会システムはもはや維持できない。
10年国債の利子率が2%を下回るということは、資本家が資本投資をして工場やオフィスビルをつくっても、資本家や投資家が満足できるリターンが得られなくなったことを意味する。
利潤率が異常に低下したのは、1974年に始まる。
資本配分を市場に任せたら、労働分配率を下げ、資本側のリターンを増やすので、富む者はより富み、貧しい者がより貧しくなっていくのは当然のこと。これは、中間層のための成長を放棄することも意味している。
国境の内側で格差を広げることもいとわない「資本のための資本主義」は、民主主義も同時に破壊する。民主主義は、価値観を同じくする中間層が存在してこそ機能するもの。
グローバリゼーションとは、「中心」と「周辺」の組み替え作業であり、ヒト・モノ・カネが国境を自由にこえ、世界全体の繁栄に導くなどといった表層的な言説に惑わされてはいけない。
中間層が没落した先進国で、消費ブームが戻ってくるはずがない。
資本主義は、中産階級を没落させ、粗暴な「資本のための資本主義」に変質していった。
これは、資本主義の「退化」である。
これまでは、2割の先進国が、8割の途上国を貧しくさせたままで発展してきたため、先進国に属する国では、国民全員が一定の豊かさを享受することができた。ところが、グローバリゼーションのすすんだ現代では、貧富の二極化が一国内で現れてしまう。
中国で「13億総中流」が実現しないとなれば、中国に民主主義が成立しないことになり、中国内で階級闘争が激化するだろう。これは中国共産党による一党独裁体制を大きく揺さぶることになる。そして、中国にバブル崩壊が起きるのは必然。成長率の高い中国バブル崩壊が世界経済に与える影響は日本の比ではない。
バブルとは、資本主義の限界と矛盾を覆い隠すために、引き起こされるもの。資本主義の限界とは、資本の実物投資の利潤率が低下し、資本の拡大再生産ができなくなってしまうこと。
アベノミクスのような、過剰な金融緩和と財政出動、さらに規制緩和によって成長を追い求めることは、危機を加速させるだけであり、万国崩壊と過剰設備によって国民の賃金はさらに削減されてしまうことになる。
マルクスの『共産党宣言』とは真逆に、現在は、万国の資本家だけが団結し、国家も労働者も団結できずにいる状態である。
法人税や金融資産課税を増税して、持てる者により負担してもらうべきなのに、逆累進性の強い消費税の増税ばかりが議論されている。
法人税に至っては、財界は下げろというだけで、新自由主義とは実は無政府主義(アナーキスト)なのかとも思える。法人税を下げたところで、利益は資本家が独占してしまい、賃金には反映されていない。
労働規制を緩和するのは資本家の利益のためでしかない。逆に規制を強化して原則として正社員としての雇用を義務付けるべき。
財界本位のアベノミクスを一刻も早く止めさせる必要があることを痛感しました。胸のすく思いのする新書です。ぜひ、ご一読ください。
(2014年8月刊。740円+税)
今年もジョウビタキが来てくれました。土曜日の朝、あっ、声がすると思ったら、すぐそばにジョウビタキが来ていました。ぷっくら可愛い姿のジョウビタキは、人なつっこく、いつも身近に来て、尻尾をチョンチョンと下げて挨拶してくれます。
日曜日の午後、チューリップを植えました。畳一枚分の広さにぎっしり詰めて球根を植えます。すぐそばには黄色いエンゼルトランペットの花がたくさん咲いています。酔芙蓉の花は終わりましたので、また来年ねと声をかけて、せんていバサミで切りました。
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