弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2014年7月27日

大学教授がガンになってわかったこと

人間


著者  山口 仲美 、 出版  幻冬舎新書

 体験者が、とても率直に経験を語っていますので、大変参考になりました。でも、東京だからこそ、こんなに医師について選択の幅があるのではないか、田舎に住んでいたら、これほど選択するのは難しいだろうな・・・、かすかな不安も覚えました。
 ネットで病院を調べることは田舎でも出来ます。だけど、身近にいい病院がいくつもあるとはとても思えません。
 それはともかくとして、ともかく実践的かつ実務に役立つ内容です。
 著者は、まずは大腸ガンが判明しました。
最終的には自分で決断する以外にない。自分で選んだものは、たとえ結果がまずくても、覚悟が出来ている。自分で病院を決定する。これは患者の大事な心得だ。
 病院選びは、とても重要なのである。それによって生死が分かれることがある。病院については、義理・人情を取っ払って、別の病院で診てもらう決断が必要。セカンド・オピニオンだ。
セカンドオピニオンを受けるためには主治医にその旨を申し出て相談し、主治医の書いてくれた紹介状と検査結果のデータをもってセカンドオピニオンを仰ぎに行くという手順を踏む必要がある。
 ええーっ、これって、案外に面倒なことですよね・・・。これまでは気軽に他の医師の意見も聞いてみようということにはなりませんね。
 最初に選んだ病院がダメな病院だと思ったら、できるだけ早く他の病院へ移ること。そうしないと、あたら命を失うことになりかねない。
選んだ病院がよかったのか、ひき続き観察し続ける必要もある。
 人気のある病院には、なかなか入院できないというデメリットがある。
個室の良さは、トイレが占有できること。大腸ガンの手術の前後には、世の中でトイレほど大事なものはない。トイレは親友だ。出血はないか、尿は出るか、ガスは出るか、便は出るか...。トイレに通いつめ、吐くこともある。そして、睡眠時間が確保できる。これらは、出費の多さに変えられないメリットなのである。
著者は時間をかけて気持ちを立て直し、ようやくガンである事実を受けとめ、前向きに対処する気になった。
そして、著者は、さらに、すい臓にもガンがあることが判明したのでした。
手術を受けた患者にできる唯一最大の回復術は、身体を動かすこと、これに尽きる。術後すぐに体を動かし、食事をきちんと食べる人の回復力はすごい。
 抗がん剤は、細胞を殺す作用をもつ薬剤。コースがすすむごとに毒性が蓄積され、だんだん体がつらくなっていく。抗ガン剤をやめる決断を下すのには、むしろ継続するより勇気がいる。ガンの種類によって、抗がん剤の効き目は違う。
 熱い湯には入らないこと。がん細胞とたたかってくれるリンパ球を減少させてしまう。お腹は温める。冷やしてはいけない。
寝る前に、お白湯(はくとう)を200cc飲む。毎日、良質のオリーブ・オイルをスプーン一杯のむ。また、ヨーグルトを毎日食べる。
 ぜひとも、著者には元気に長生きしてほしいと思いました。
(2014年3月刊。800円+税)

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