弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2014年7月22日

光る生物の話

生き物


著者  下村 脩 、 出版  朝日新聞出版

 身近な光る生物といえば、なんといってもホタルです。私の家から歩いて5分のところにホタルが飛びかう小川が流れています。コンクリート三面張りにした部分も、やがて土で覆われて、少しずつホタルが回復しています。
 本格的な梅雨入りすると、このあたりのホタルは季節は終わります。よそは8月に入ってもホタルが飛びかうようですから、私のところは早いのでしょう。
ホタルが光るのは、雌雄間の求愛行為。ホタルの点滅は、誤差20ミリ秒という正確さで同調している。ただし、雄ホタルの点滅発光は、同調しているが、雌ホタルの点滅発光は、同調発光しない。だから、雄ホタル発見できるのですよね。
雄ホタルの発酵時間は0.1秒で、発行間隔は1秒。ただし、種によって、多少異なる。
 生物が光を放つのは、化学反応である。ルシフェリンは、ルシフェラーゼの触媒作用により酸化されて、発光エネルギーを与える有機化合物である。発光量は反応したルシフェリン量に比例する。
 発光反応では、ルシフェリンが酸化され、大きなエネルギーをもつ励起状態の酸化物(発光体)を生じ、それが、通常のエネルギーの基底状態に変わるときに、余分のエネルギーを光子(フォトン)として放出する。
 著者は、光るウミホタルの研究のため500万匹のウミホタルをつかった。オワンクラゲの研究では、18年間に85万匹を、1匹1匹、手網で採取して使った。採取ノルマは、1日300匹だった。すごいですね。大変だったでしょうね・・・。
 オワンクラゲは緑に光るが、それから得た発光タンパク質イクオリンはカルシウムで青く光る。これは、オワンクラゲの発光細胞中には、イクオリンと緑色蛍光たんぱく質GFPが共存するためである。
 ノーベル賞を受賞した学者の涙ぐましい努力のあとがしのばれる本です。
(2014年4月刊。1300円+税)

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