弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2014年7月16日

風がおしえる未来予想図

社会


著者  原発なくそう・風船プロジェクト実行委員会 、 出版  花伝社

 海外へ原発を輸出しようとしている安倍首相は、それだからこそ一刻も早く原発を再稼働させようとしています。とんでもないことです。
 だって、いまでも福島第一原発の周囲に人が住むことは出来ず、15万人もの人々が狭くて不自由きわまりない仮設住宅に住まされているのです。
 使用済み核燃料がどうなっているのか、3年たった今も皆目わからず、放射能に汚染された水や空気が拡散し続けているのです。
 東京電力の無神経さは今に始まったことではありませんが、九州電力だってまったく同じです。いずれも経済団体を牛耳ってきました。そして、彼らは教育に注文をつけ、教科書を思うように書き替えてきました。要するに、疑うことを知らない子ども、そして大人になることを求めています。そうなったら、まるで会社いいなりのロボット人間ではありませんか・・・。
九州にある玄海と川内(せんだい)の二つの原発を絶対に再稼働させてはなりません。
 原発はクリーンなエネルギーだと言っていましたが、3.11のあとは、とんでもない大嘘だということが誰の目にも明らかになりました。
 この風船プロジェクトは、玄海原発の近くから風船を飛ばしたら、いつ、どこへ落ちるだろうか、それを調べようというものです。もちろん、前例があります。2012年3月に福井県にある美浜原発から1000個の風船を飛ばしたのでした。100個が発見され、うち83個が岐阜県内で発見されたのでした。
玄海原発の周辺から風船を飛ばしたのは4回です。2012年12月8日が第1回目で4回目は2013年10月27日でした。
 ヘリウムガスを風船につめて飛ばしました。ゴム風船ですが、環境負荷(影響)の少ないものに工夫しています。
風船と放射性微粒子の動きは、水平方向では似たような飛行軌跡を示した。
 風船は捨てられたら環境から除外する。放射性物質は違う。地上に降り積もった放射性微粒子は、自然環境や生活環境中にとどまり続け、晴れて乾燥した日や、風が強い日などには、再び大気中に浮遊し、風などに乗って拡散する。この半減期は長く、30年であり、何十年も生き続ける。
 風船プロジェクトは楽しい企画でした。一杯100円の豚汁、コーヒー1杯100円だなんて、まさしく困ったときの神頼みですよね。
 100頁あまりの手頃なブックレットです。ぜひ、あなたもお読み下さい。読みやすく、ためになる面白い本です。
(2014年6月刊。1000円+税)

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