弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2014年6月 7日

八法亭みややっこの憲法噺

司法


著者  飯田 美弥子 、 出版  花伝社

 弁護士にも、本当にいろんな人がいるんですね・・・。なんと、憲法を講談ではなく、落語で語ろうっていうんです。もちろん、キリリとした和服姿で、高座に座って語るのですよ、憲法を・・・。
 私のよく知っている裁判官も、大学で落語研究会(オチケンと読みます)にはいって、その前は、私と同じくセツルメントサークルにいましたが・・・、今もときどき高座に出て一席語っているそうです。こちらは憲法ではなく、世相を斬る新作落語のようです。
 著者の語る憲法ばなしは、CDで見せていただきました。2時間あまり憲法を語って飽きさせないところは、さすがです。水戸一高の落研出身といいますから、年期が入っていますね。
紬(つむぎ)の着物に紅型(びんかた)の染め帯姿。著者は茶道もたしなむので、自分で着物が着られる。そして、書道四段の腕前で、自ら墨書しためくり「安倍のリスク、八法亭みややっこ」のそばに扇子をもってすわる。
 八法亭とは、六法全書というより、著者の所属する八王子合同法律事務所を縮約したネーミングです。
 著者の落語を聴いて、私がもっとも感銘を受けたのは、著者は、憲法9条より13条を一番大切にしているということを、自らの体験をふまえて赤裸々に語っているところです。
 女の子だから、女たるもの・・・、と言われることを高校、大学と大いに反発し続け、さらに結婚してからは夫にも忍従なんてしなかったというあたりです。まさしく自立した女性のたくましさに、大いに心が惹かれました。
 わずか76頁のブックレットですが、ぎっしり著者の思いが込められています。ぜひ、あなたも手にとってお読みください。
(2014年5月刊。800円+税)

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