弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2013年11月 2日

銀河と宇宙

宇宙

著者  ジョン・グリビン 、 出版  丸善出版

たまには、銀河と宇宙のことを考えてみるのは必要なことではないでしょうか。
人間の死後を考えたら、人間をつつむ銀河と宇宙がその後どうなるのか、考えずにはあれません。
 銀河がどのような最期を迎えるのかは宇宙の運命にかかっている。その宇宙の運命については三つのシナリオが考えられる。その一つは、宇宙が今日と同じ程度の加速膨張を続けていく。その二は、加速膨張の加速の程度がしだいに増えていく。第三は、それほど遠くない未来に加速傍聴に転じ、最終的には宇宙がビックバンを時間反転したビッグクランチとよばれる高密度状態になる。もし、宇宙の膨張が十分に長く続くなら、最終的にはガスとダストを使い果たして、宇宙のなかのすべての星成長活動が終わるだろう。
 銀河は1兆年という長い時間のうちに、暗く、赤くなるのに加え、やせ細って小さくなっていく。これを銀河の最期とみなすことができる。
 ブラックホールもまた同じように最期を迎える。ブラックホールも蒸発してしまう。
 現在の宇宙年齢の10倍の時間以内に、局所銀河群のメンバー銀河の合体からできた超巨大銀河の「島宇宙」がしだいに輝きを失っていく様子以外には何も見えなくなるだろう。
 その二のシナリオでは、いまから200億年のうちに必ず最後が来る。原子とすべての粒子は引き裂かれて「無」になり、その後には平坦で空虚な時空が残る。この空虚な時空から新しい宇宙が生まれて、銀河系がふたたび生まれるという考えもある・・・。
 その三のシナリオは、ビッグクランチの20億年前になると、もはや生命は存在できず、銀河は壊されて乱雑な星の集まりとなる。最後から100万年たらず前の時点で星の内部にあるものも含めてすべてバリオンが、それを構成する荷電粒子の成分に分解される。そして、物質と放射がふたたび密接に結合する。
 宇宙の大きさが現在の100万分の1になり、温度が星の内部の温度とほぼ同じ1000万度Cをこえると、星の中心核といえども火の玉のなかで溶融する。最終的には、すべてのものが特異的の中に消滅する。
 そして、この本は次のようにしめくくります。これを呼んで、ほっとひと安心というところでしょうか・・・。
 銀河は数千億年、現在の宇宙年齢の10倍以上の期間は安全で、人類とは別の知的生命体の観測者たちが、それがどんな最後を迎えるかを正確に理解するまでに十分な時間がある。
 私は、それよりも、原発なんていう人類のコントロール不能のものをかかえたまま、原発の操業再開だとか海外への輸出だとか、ましてや日本の原発を狙ったテロとか、そんな状況では、地球上の人類の生存こそ今や危機に直面していると改めて思いました。
(2013年7月刊。1000円+税)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー