弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2013年5月19日

警察崩壊

警察

著者  原田 宏二 、 出版  旬報社

北海道警察の幹部だった著者が長年にわたった警察の裏金づくりを内部に告発したのは今から9年前の2004年2月のことでした。この9年間に、警察の体質は改善されたと言えるでしょうか・・・。
 改善されたどころか、警察官の不祥事はこのところ目立っていますよね。どうなっているのかと思うほどです。現職警察官による殺人事件も最近起きています。
警察庁長官という警察トップが内閣官房副長官に就任するコースがあるのですね。いわば、警察官僚が権力中枢に位置するわけです。そして、「自民党に刑事事件が波及しない」なんていう見直しを記者に示したというのです。とんでもない元長官です。警察のおごりを示す発言ですよね。
 公安委員会が中央に県にもありますが、有名無実化しています。著者は、せめて警察から独立した事務局をもてと提言していますが、当然です。
 県の公安委員会には人事権がなく、同意権のみというのも改めるべきだ。まったくそのとおりです。あまりにも中央県権化しすぎています。
 今や警察官の供給源は大学生。女性職員も10%となっている。
 正義感の強い若者が警察にはいって実態を知ると、実際との落差に絶望することになる。裏金づりは本当になくなったのでしょうか・・・。
 若い警察官のなりたくないのは、筆頭が留置場勤務で、その次が交通事故係だ。
最近、私は足しげく警察署に通っています。何ヶ月も行かないこともあるのですが、今はなぜか3人も留置場にいる人の弁護人になっています。留置場に若い警察官がいて、そうか、希望して配属されたのではないのかと、ついつい同情してしまいます。
 警察の最近の実態を知ることのできる本です。
(2013年4月刊。1700円+税)

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