弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2013年4月14日

患者も医療者も幸せになる医療をめざして

人間

出版  患者の権利法を作る会 

昨年11月のシンポジウムが冊子になっています。つまみ喰い的に、いくつか内容を紹介します。
 アメリカの州の中にはアイムソーリー法というのを定めている州がある。そうです。そう言えば、アメリカでは交通事故にあったとき、決して日本の「すみません」という感覚で「アイムソーリー」と言ってはいけないそうだと聞いたことがあります。「アイムソーリー」と言うと、自分に非があることを認めたことになって、あとで不利になるというのです。でも、共感を表明するのと過失を認めるのでは違いますよね、ですから、アメリカでも、アイムソーリーと言ったからといって過失を認めたことにはならない。そのことを州法で定めたというのです。そんな法律がなければ、アイムソーリーとは簡単に言えないということでもあります。悪い結果に対して、素直に残念だ、申し訳ないと言えるようにしようという動きです。いいことです。
 患者や遺族が病院・医師を相手として訴訟を起こす理由は三つある。ひとつは、病状の急激な変化、また死亡に至る経緯が不自然であり、その不信感を払拭する説明がなかったとき。二つ目は、病状説明が二転三転するとき。三つめは、事故後の対応があまりにも不誠実または閉鎖的なとき。そうなんですよね。まったくそのとおりだと思います。
 患者・遺族側は、事故が起きたら、隠蔽することなく全てを正直に公開してほしい。この点も、まったく同感です。
最後に、患者の権利法を定めようというとき、そこには患者の権利だけが書かれていると誤解されていることが多いと指摘されています。もちろん、患者の権利だけでなく責務についても触れられていますし、それ以外に「共に」「関係者みんなで」とあるのです。
 お互いにまだまだ知るべきことが多いように改めて思いました。
(2013年3月刊。非売品)

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