弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2013年4月11日

誤解だらけの沖縄・米軍基地

社会

著者  尾良 朝博 、 出版  旬報社

アメリカ軍のオスプレイが日本国内を我が物顔に飛びまわっています。日本ってアメリカ軍の占領下にあるようなものだと実感させられます。このオスプレイの傍若無人ぶりに右翼・保守層の人々が怒らないのが、私には不思議でなりません。彼らの「愛国心」なるものは一体どこに消えてしまったのでしょうか・・・。それとも、アメリカのいいなりになるような国を愛せとでも言うのでしょうか。
 沖縄にいるアメリカ軍の主体は海兵隊である。海兵隊は海岸から上陸作戦をおこない、後続の大部隊のために陣地を確保する、切り込み部隊である。
 海兵隊が上陸作戦をするにはヘリ空母などの強襲場陸艦隊で移動する必要がある。しかし、実は、沖縄にはそんなものはない。佐世保のアメリカ海軍基地を母港としている。海兵隊が出撃するときには、長崎から船が到着するのを待ち、それから物資や兵員、ヘリコプターなどを詰めこんで出発する。仮に朝鮮半島で紛争が起きたとき、船は長崎から沖縄に南下し、再び朝鮮半島へ向けて北上することになる。
 これでは、沖縄は地理的に不可欠とは言えない。だから、なぜ沖縄にアメリカ軍基地が集中しているのかという問いかけへの正しい答えは、アメリカ軍が求めているからではなく、日本政府がそう望んでいるからだということ。
 つまり、海兵隊を沖縄に駐留させる必然性はない。本土に移転させるには政治的コストがかかりすぎるから、というのが沖縄基地問題の本質だ。
普天間飛行場は、那覇市から車で20分ほどのところという良好な立地条件にある。そして480ヘクタールの広さがある。そこで働いている日本人従業員はわずか200人。これを民間活用したら、よほど地域経済のためになる。沖縄県議会議員事務局の試算によると、沖縄にあるアメリカ軍基地の全部が日本に返還されたとき、現在の雇用3万5000人が9万5000人になる。そして、商業や農業に活用することによる経済効果は9155億円に上るという。今より2.2倍の経済効果がある。
私も、何度も沖縄には行きましたが、アメリカ軍基地がなくなったら沖縄の経済は飛躍的に発展することを実感しました。なにしろ、町のド真ん中を広大なアメリカ軍基地が占めているのです。これほどの無駄はありません。現にフィリピンがアメリカ軍基地をなくしたあと、大きく経済発展させています。日本もぜひフィリピンと同じ独立国として、そうしたいものです。
沖縄にいるアメリカ軍兵隊はそもそも時代遅れの存在でしかない。
 1950年の朝鮮戦争のときのような海兵隊による上陸作戦というのは今では考えられないことは明らかです。
 現に、沖縄には、かつて2つの歩兵連隊があったけれど、今では第四海兵連隊だけしかいない。海兵隊のほうからも、沖縄は、もはや魅力を失っているという声があがっている。沖縄タイムスの論説委員、社会部長をつとめた著者の指摘はまことにごもっともだと思いました。
(2012年11月刊。1200円+税)

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