弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2013年3月16日

紅の党

中国

著者  朝日新聞中国総局、 出版  朝日新聞出版

中国共産党のトップの内幕に迫っています。
 このところ久しく中国には行っていませんが、中国に行くたびに、ここが社会主義国だとはとても思えません。東京と同じか、それ以上の高層ビルが林立していて、資本主義そのものとしか思えないのです。
 裸官。公権力を使って、わいろなどの不正収入を得た党幹部がまずは子どもを留学させ、次に妻も移民させて資金を海外に移していることを示す言葉。家族や資産は海外で、幹部だけが国内に残ることから「裸の官僚」という意味。
 2008年までの10年あまりに海外へ逃げた政府や国有企業などの幹部は1万5000人から1万8000人にのぼり、流出資産は8000億元(10兆円)に達する。
 ハーバード大学で中国の指導者養成プログラムが始まったのは2001年。党人事を仕切る中国共産党組織部が中心となって始めた。コース期間は、8週間から数か月間まで、いろいろ。毎年40~50人の党中央や地方の幹部が「学生」として営んでいる。
 江沢民も胡錦濤も、後見人の鄧小平に見いだされて、総書記に選ばれた。今、中国に毛沢東や鄧小平のように総書記を指名を出来るカリスマはいない。集団指導体制の下で行われる後継指導部の人選は、難航を極める。
 薄煕来失脚事件の真相と問題点については、『チャイナ・ジャッジ』に譲ります。

(2013年2月刊。1300円+税)

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