弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2013年1月 8日

おかげさま老人ホーム選びの掟

司法

著者  外岡 潤 、 出版  ぱる出版

介護弁護士を自称する著者は介護マンガ『ヘルプマン』を読んで発奮したということです。私も『ヘルプマン』は、ついに21巻全部を読み通しました。とても教えられました。
 私の依頼者、相談者に介護施設で働く人はたくさんいますので、共通の話題づくりにも役立ちました。
 それにしても、東大を出て一流の法律事務所に勤めていたのに、いきなり独立開業し、しかも専門分野が介護というのですから勇気があります。
 そのうえ、奇術が出来て、日本舞踊まで演じるというのですから、多芸・異能の若手弁護士ですね。
 介護マンガ『ヘルプマン』こそ、著者の人生を大きく変えた。よし、それなら、介護現場で起きるトラブル解決に特化した弁護士になろうと決意した。
 今の日本の介護現場はトラブルの温床であり、当初の想像以上に事態は深刻である。
 介護業界は現場のスタッフの待遇が賃金面で絶望的に悪すぎる。仕事内容もいわゆる3Kで、あたりまえかもしれないが、職場には若々しい活気などなく、新卒にも人気がない。だから、健全な競争が起きず、優秀な人材がなかなか来ない。来ても定着して育つのはまれで、慢性的に人手が足りない。その悪循環のなかで、カバーしきれない事故が続出している。
老人ホームを選ぶときには、その施設の現場全体の雰囲気、ありように着目すべきだ。
 施設が、すみずみまで清潔にしていること。それは職場の雰囲気、職員の意識の高さの反映でもある。
有料老人ホームとの契約では契約を結んでから90日以内なら一時金の返還を求められることが多い。
 3年前に出張型介護、福祉系専門法律事務所「おかげさま」を開業してがんばっているとのこと。うれしいですよね、こんな若手弁護士がいるなんて。
 引き続き、ぜひがんばってください。
(2011年10月刊。1400円+税)

 明けましておめでとうございます。本年もどうぞご愛読ください。
 おせちもほどほどに食べ、ガーデニングに励んだり、静かに正月休みを過ごしました。嵐の前の静けさ、といった気分でした。

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