弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2013年1月 4日

チンパンジーは、なぜヒトにならなかったのか

人間

著者  ジョン・コーエン 、 出版  講談社

人間とチンパンジーは、どれだけ違い、また、似ているのかを探った本です。
 チンパンジーは泳げないそうです。だから、深い池にはまってしまうと、おぼれ死んでしまうといいます。犬かきみたいなこともできないのですかね・・・。
 そして、チンパンジーは人間の好むマラソンのような長く走ることもできないそうです。
 チンパンジーは、肝炎にかからない。
母親になったばかりのチンパンジーは、1時間に22回も赤ん坊の目をのぞき込むことが分かった。
人間の赤ん坊は夜泣きする。しかし、チンパンジーの赤ん坊は絶対に泣かない。なぜなら、母親が常に一緒にいるから。
 チンパンジーの雌は、授乳するときしか胸(乳房)はふくらまない。
 ヒトの男子の精液1ミリリットル中の精子は6600万個。ところが、チンパンジーは、25億個にもなる。
人間の女性は排卵の時期と受精のピーク時を隠すように進化してきた。父親をあいまいにすることで、女性とその子どもたちが守られるようにしたいということ。
野生のチンパンジーの平均寿命は13年。飼育下では42歳くらいまで生きる。チンパンジーは、30歳になるころには、狩猟採集生活者よりはるかに死亡率が高くなっている。
チンパンジーは、大人まで成長したら、最後に子どもを産んでから数年ほど生き続ける確率は1%でしかない。
人間は閉経後のおばちゃんが子育てに関わっていることが特徴です。
 チンパンジーは、今や絶滅の危機にある。野生のチンパンジーは多くて23万頭、少なくて16万頭ほどになった。人間が木を伐採し、土地を耕すことで生息地を破壊し、分散させてしまい、その結果、近親交配が増えていることによる。
 ニホンザルが減ったという印象はありませんが、アフリカのチンパンジーは劇的に減っているようです。心配です。
チンパンジーと人間の異同は、もっともっと知りたいところですよね。だって、人間とは何者なのかを知りたいものですから。
(2012年9月刊。2800円+税)

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